『これからの英語教育の話しをしよう』の紹介

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ひつじ書房から『これからの英語教育の話をしよう』(1350円+税)という本が出版された。筆者は寺沢拓敬、仲潔、藤原康弘の三氏、さらに座談会には嶋内佐絵、松井孝志の両氏が加わって活発な議論を展開している。私は執筆者の一人から、この本を恵贈していただいたので、感謝の念を表明するとともに、この本を少し紹介したい。

タイトルの「これからの英語教育の話をしよう」だが、何となく親しみの持てるタイトルである。他の研究者ならば、『現代英語教育の抜本的な改革に関する諸提案』というような堅苦しいネーミングを選んだかもしれない。タイトルを親しみやすくして、一般の読者に対して敷居を低くして、入りやすくしている。

次期の英語教育の学習指導要領の試案がすでに発表されている。また、コア・カリキュラムが示されている。これらの学習指導要領を初めとする文科省の説明をクリティカルに読み解いている。そして、それについて対案をも提示している。対案の提示とは大切なことであり、そのことによって、筆者達の言説は言い放しではなくて、責任あるものとなっている。

さて、この本だが、英語教育に関してある程度は興味を持った人を対象にしている。英語教育の問題点をいろいろとあぶり出しているのであるから、まだ初々しい心を持った学生達には強すぎる刺激を与えるかもしれない。高校生で、自分は将来英語を勉強して英語を日本の若者に教えたい、個人的には、アメリカ人のように話して、そしてアメリカ文化を日本人に紹介して、日本とアメリカの橋渡しとなって、国際化時代に貢献したいと考えている人がいると仮定する。

この高校生は、この本を読むことで、英語への初々しい心が毒されるので、毒薬みたいな作用をするかもしれない。しかし、英語へ素朴で初々しい心を持つと言うことは、実は英語帝国主義という毒薬におかされていることなので、この本が解毒剤の働きをするのである。解毒剤を飲んでから、はじめて英語に真に向きあうことができるのである。

そんなことで、まずある程度は英語教育に携わった人、ある程度は現代の英語教育の問題点の存在に気づき始めた人が読むといいのではと思う。

さて、個人的に面白いと思ったのは、CAN-DOリストについて問題点を指摘していることである。現代では、CEFRとCAN-DOリストが手放しで賞賛されていて、様々な教育機関で「バスに乗り遅れるな」とばかりに、導入が積極的に推進されている。ほとんどの論文は推進派の視点からの論文ばかりであり、慎重論の視点からの論文は少ないように感じている。この本では、慎重論の視点からの言及が見られるのが興味深い。今後は、CEFRとCAN-DOリストを日本で導入する時の問題点をもう少し詳説してもらえればと願っている。

 

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