『言語過程説の探求』第三巻の紹介

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佐良木昌先生(明治大学・客員研究員)より、『言語過程説の探求』第3巻をご恵贈いただいた。佐良木先生には感謝の意を表明すると同時に、若干この本の紹介を行いたい。

この本は副題が「自然言語処理への展開」となっている。この本は389ページであり、ハードカバーであるので、かなり重厚な感じの本となっている。

各章のタイトルであるが、第一章は宮崎正弘先生(新潟大学名誉教授・ラングテック社長)による、「言語過程説に基づく日本語解析の試み」である。第二章は白井諭研究員(元NTTコミュニケーションテクノロジ)による、「日英機械翻訳のための言語知識の構築と記述に関する研究」である。第三章は、衛藤純司先生による「意味類型構築のための文接続表現の体系化」である。最後の第四章は、この本の編者でもある佐良木先生による「時枝古典解釈文法から翻訳過程論への示唆」である。

まえがき(p.3)で、編者の佐良木先生は次のような趣旨のことを述べている。「執筆者4名は、それぞれ独自に学的な研鑽を積み重ねているが、時枝誠記が提唱した言語過程説を批判的に継承し発展させるという共通の基盤を持っている。観念弁証法の転倒と同様に言語過程説を唯物論的に改作し認識と言語の科学的理論を確立する、あるいは精神現象学および純粋現象学への唯物論的批判を通じて言語と意識とを物質の現象学として把握する、あるいは感性的労働の論理を基礎として、言語活動者の主体的活動において言語表現を捉える、といったそれぞれの視点で各論考は執筆されている」

言語過程説の分析から始まり、日本語構造の分析に進み、究極的には機械翻訳に進みたい、という執筆者達の試みは気宇壮大な計画でもある。機械翻訳自体は日進月歩の時代の最先端の分野であるが、それを支えるために、確かな言語観、言語哲学が必要であることを示していると言えるだろう。

『言語過程説の探求』はすでに第1巻が刊行されている。第2巻の方が、この第3巻の刊行よりも遅れて刊行されるという、変則的な形となるようだが、その第2巻の刊行も待たれる次第である。

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