読唇術

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昨日の大学院の授業の時に、ろうあ者の教育が話題になった。ろう学校では、手話を主に教える場合と読唇術を教える場合の二通りがあるそうだ。ろうあ教育の関係者の間でも、どちらの方法を中心にして教育すべきか議論が続いている。

ろうあ者同士の場合は手話を用いた方がコミュニケーションがスムーズに行く。しかし、生活をしていくためには、ろうあ者は健常者とのコミュニケーションの方がより重要である。健常者で手話を理解できる人は少ない。それゆえに、読唇術の方に力を入れて教育すべきとの意見は理解できる。結論的には両方とも行うべきということになるのだろう。

そんな話を院生達としていた。ところで、一人の学生に口だけ動かして何か語ってもらって、どれくらい理解できるか実験をしてみた。その学生は大きく口を開けて何かを話した。自分は内容は全然分からなかった。しかし、ある院生はすぐに「私は今日はカレーを食べたいです」と言ったでしょう、と当ててしまった。

どうも、口の動きを見てすぐに当ててしまう人がいる。その人は体系的な教育を受けていなくても、鋭い勘で当ててしまったようだ。

我々は、会話をするときは、目を見ることもあれば、相手の口元を見ることもある。無意識のうちに音声と口元が重なり合うのだ。それゆえに、音声では「あなたが好き」と聞こえてきても、口元は「あんたなんて嫌い」という形をとると違和感が生じる。

「好き」と言うときは、口元が丸まり穏やかな表情になる。「嫌い」と言うときは、口元が横に開いて、顔が自然と険しい顔になる。

英語でも、I love you.のラブは口元が開いて穏やかな表情になるが、I hate you. では、ヘイトの音は口が開いて、顔の表情が険しくなる。

母音が a, o, u ならば好意的な感情を表し、i, e ならば敵意の感情を表現すると一般化してみたい。中国語の「我愛你(ウォー アイ ニー)」などはそれに該当する。でも、フランス語の Je t’aime. やドイツ語の Ich liebe dich. では、i, e の音が使われる。というわけで、どうも一般化は難しいようだ。今後の研究課題である。

ところで、昔、ゴルゴ13のマンガを読んだときのことを思い出した。主人公がある二人の男の行動を遠くから双眼鏡で見張っていた。二人の男は、うろ覚えだが、「今度の13日の6時にロスアンジェルスの例の酒場で麻薬を渡すよ」というようなことを会話したようだ。ゴルゴ13は双眼鏡で見て、二人の口の動きから、その会話の内容を読み取ってしまった。ゴルゴ13は読唇術をも心得ていたのだ。

ゴルゴ13

このマンガを読んだときに自分はそんなことは可能かな、と首を掲げた。まあ、マンガだからそんなに真剣に取らなくていいのだが、口の構えが同じ音が結構ある。f/v, t/d, p/b などである。声帯が振動するかどうかの違いで生じる有声音と無声音である。face/ vase などはどうやって区分けするのかな、と思った。

前後左右の文脈で解釈するのだろうと思うが、100%正確に解釈するのは無理だろう。

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