『マイ・フエア・レディー』を観る。

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ケーブルテレビで『マイ・フエア・レディー』を観た。面白かった。まだ、階級意識が強く存在するイギリスのロンドンの町での話だ。花を売って生計をたてていたイライザ(オードリー・ヘップバーン)をヘンリー・ヒギンズ教授は発音の教育をしてレディーに仕立てるという話だ。これは有名な話なので、内容には特に言及する必要はないだろう。ここでは映画を観て、自分が考えてことをいくつか箇条書きにして述べてみたい。

(1)学生に見せる教材として面白いと考えた。英語の発音によって階級がはっきりと分かれていること、ロンドンの下町のコクニー発音でも細かく分かれていて、ヒギンズ教授は人の発音を聞いて、どこの地域生まれを即座に言い当てることができる知識を持っていること、などを学生に知ってもらうと有意義だと思う。

(2)proper  English を話すことが階級社会を登ることに必要である。これは全世界的にも成立することになってしまった。日本人なまりの日本式英語を話していると、グローバル社会の中では負け犬になってしまう。日本人でもアメリカ英語が話せるならば、若い頃にアメリカに留学して(それだけの資力のある家庭に育ったことの証明になる)、学術を修めたことを意味している。留学できるだけの知力があるならば、頭脳も優れていることを意味する。という風に一般には信じられている(この英語を観るとそんなメッセージを受け取ってしまうかもしれない)。

(3)英語の世界のヒエラルキーを考えるならば、マイフェアレディーが舞台となった19世紀末のイギリスでは、同時に世界的にも、いわゆるイギリス英語(Received Pronunciation)が世界の頂点に君臨していたが、これが今ではアメリカ英語へと移動してしまった。この頃は、カリフォルニアあたりの英語か、ニューヨークの英語が一番権威ある英語となってしまった。そんな話を学生にすれば、英語の世界の威厳あるモデルが、実は変わるものであることを、学生に教えるいい材料になるだろう。

(4)イライザは/h/の音を出すのに苦労していた。コクニーは/h/の音を使わない。それゆえに、ヘンリー・ヒギンズ教授を「インリー・イギンズ」と発音していた。世界的にも/h/を出さない例はよく見られる。フランス語などはその典型だ。

(5)イライザは、/eɪ/と代わりに/aɪ/を発音してしまう。矯正するために、 The rain in Spain stays mainly in the plain. という文をイライザは繰り返して発音して、/eɪ/の音声に慣れてゆく。The rain in Spain stays mainly in the plain. という文は自分のクラスでも学生に発音させたが、その時に、映画『マイ・フエア・レディー』やイライザが発音矯正のためにこの文を何度も繰り返したという話しをすれば学生は興味を引いただろうと思った。

(6)原作者のバーナードショーは、階級差をなくすために、全員がRPを学んで話すようにすべきとの考えであったようだ。だが、コクニーを自己を表現する大切な資産であるという発想はなかったようだ。この英語は明らかに、「社会方言=悪」というメッセージを学生に伝えてしまう。さらには、「World Englishes =悪」というメッセージにまでつながってしまう。この映画は面白くて学生に音声に関する興味を高めさせる点では有益だが、伝えるメッセージをそのまま受け取らないように学生には警告を発しておく必要があるようだ。

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