みのかも宣言
~ すべての人が参加する地域づくり ~
南米日系人を中心に多数の外国人住民が暮らす地方自治体で組織する外国人集住都市会議は、「浜松宣言」(2001年)、「豊田宣言」(2004年)、「よっかいち宣言」(2006年)などを経て、外国人住民の定住化により外国人登録制度などの諸制度が実態からかい離している現状に対して、国などに制度改革を提言するとともに、自らの取り組みを強化してきた。
外国人登録者は2007年末に215万人を超え、この10年間で約45%増となり、今後も増加すると予想される。また、これまで、短期的な滞在とみなされ、まちづくりへの参画が少なかった外国人であるが、長期滞在化が進み、今や、地域の経済を支える役割とともに、地域社会でも重要な構成員としての役割を担う存在となっている。
しかし、言葉の壁や文化・習慣の違いから生じる様々な摩擦、間接雇用などの不安定な就労形態、子どもの教育など、外国人を取り巻く課題は山積しており、もはや地方自治体や民間団体などでの独自の取り組みには限界がある。世界規模の人口移動の潮流の中で、国は確固とした外国人政策を打ち出し、早急に課題の解決に取り組まなければならない。
一方で、こうした課題ばかりではなく、異なる文化的背景を有する者同士が、共にまちづくりの議論に参加することで、新たな価値観・地域文化が創出されるという可能性もある。
外国人集住都市会議は、日本人住民と外国人住民が、互いの文化や価値観に対する理解と尊重を深めるなかで、健全な都市生活に欠かせない権利の尊重と義務の遂行を基本とした多文化共生社会の形成に向け、以下のとおり取り組んでいくことを宣言する。
第1に、外国人集住都市会議は、「生活者としての外国人と地域コミュニティとの関わり」、「地域における企業の外国人への支援及び自治体との連携」、「外国人の子どもの教育について」の3つの提言を行ない、その推進に努める。そして、これらの課題の具体的な解決に向けて、国としての外国人政策を総合的に企画・立案し、関係省庁に対し強い主導力を発揮し、着実に推進できる新たな組織の設置を国に提言していく。
第2に、外国人集住都市会議は、外国人住民が、自立し、地域で円滑なコミュニケーションを図り、まちづくりに参画できるよう日本語学習支援の体制づくりを国、県、NPOや経済界などと連携・協力して取り組んでいくとともに、外国人住民が生活や就学・就労に必要な日本語を習得するための機会を保障することを国に提言する。
第3に、外国人集住都市会議は、全国的に広がりを見せている外国人住民にかかわる課題について、会員都市が積み重ねてきた経験と実績を生かし、多文化共生社会の実現に向けた取り組みを進めていく。
2008(平成20)年10月15日外国人集住都市会議
なお関連して二つの記事がありますので参照して下さい。