JACET関西支部「海外の外国語教育研究会」第4回研究会

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2015-03-28

本日、JACET関西支部「海外の外国語教育研究会」第4回研究会の発表がキャンパス京都6Fで行われた。それに参加したので、内容を紹介していく。

(1)最初の発表は「イギリスの教員養成制度」について米崎先生からであった。報告によれば、イギリス政府は優秀な教員を積極的にリクルートしている。また、イギリスでは、教職という職業は栄誉ある職業と考えていることが多い。教員の給料はまずまずの水準である。これらの点は日本と異なっている。

教員養成制度はかなり日本と異なっている。実習生は職員会議にでたり、保護者との対応があるので、中には嫌気がさしてやめる人がいるが、それにより自分が教職に向いているかどうかを早めに知ることができる。教員免状だけをとる人は日本と比べて少ない。イギリスでは、一対一のメンターの指導が有益である。

イギリスは最近は義務教育を2年間延長している。それは、若者がニートになるのを防ぐためである。義務教育を延長して、ニートになる可能性のある人を学校教育の中に囲い込んでいる。イギリスでは、小学校では7歳から第2外国語の教育が始まった。この国では、国語、算数、理科という順番に重視されていて、第2外国語への比重は少ない。これは日本と同じである。

イギリスでは、60年代、70年代で外国語を小学校に導入することは失敗している。それは教員トレーニングがうまくいっていないからという反省がある。その反省もあって、イギリスは24週もの長い教育実習をおこなっている。

(2)次は杉谷先生による「ドイツの教員養成」であった。ドイツにおける歴史と教育の関係の説明があった。60年代のドイツで発行される地図をスライドで見せて、その当時のドイツでは、自国の歴史的な領土はその当時は放棄という考えはなかったことを示していた。第2次大戦の結果、他国に割譲した領土は、ドイツの地図では、ポーランド管理下、ソビエト管理下などと記されていたのである。しかし、新しく首相となったブラント氏は、これらの領土の放棄を最終的に決断した。そのことが近隣諸国との改善につながった。

ドイツの中等学校は、基幹学校、実科学校、総合学校、ギムナギウムなどに分かれていること、さらに、ボローニア・プロセスの影響について報告があった。ドイツは伝統的に中等教育では、2教科の資格を取らなければならない。一つの外国語の科目と専門科目である。つまりその言語で一つの専門科目を理解する能力である。それはCLILという考えにも通じる考えである。

ドイツでは、教員の能力の定義をしている。教員は、そして移民の増大に対する認識がちょんとしているかどうか、子どもや保護者に対する適性をもっているか、問題解決能力をもっているかどうか調べることで、教員としての能力の判断をしている。

(3)三番目は林先生による「オランダの教員養成」であった。オランダは人口は1686人である。広さは九州ほどの面積である。そして、移民の数が11.4%である。オランダはTOEFLのスコアは高かったが、移民の増加もあり現在は下がっているとのことである。なお、ルクセンブルク、スロヴェニア、オランダ、スウェーデンでは、英語の聞き取りの力がある。それはテレビや映画、コンピュータなどで英語に触れる機会が多いからである。

教職希望者の取得単位数は修士修了課程で300単位で、この数字は高すぎるのではとの質問があったが、それは科目が細かく分かれているので、そのような単位数になるとの回答であった。やはり、CLILが盛んで、日本でも他教科横断型授業が試みられていることであった。

また、教育実習の時間は日本では、中学では4週間、高校では2週間である。それに対して、オランダでは、1年目は3週間、2年目は6週間、3年目は12週間、4年目は21週間の実習を行っている。合計で、33週間の実習であり、この点では、実習に関する重きの置き方が日本とオランダでは異なるとの報告であった。

(4)最後は大谷先生による「外国語教員養成のあり方をどう考えるか」の発表であった。大谷先生は、日本の教育予算が諸外国に比べて少ないことを指摘された。諸外国では教育が最重要事項とされているが、日本では近年教育に対する軽視がむしろ目立っている。また、諸外国では、教職が専門職であると意識される中で、日本ではむしろアマチュアに教職を任せることが進んでいる。アマチュアのALT, 外国語に堪能な地域の人々、民間人校長などの存在がその証であるという報告である。

また、日本における教育に対する慢心の現れとしては、「ゆとり教育」があるという。そのほかに、日本の教育界における大学院修了者の少なさ(小学校では2.6%、中学校では4.5%、高校では11.1%である)を指摘した。そのほかに、日本の教員の給料の少なさ、勤務時間の長さなどを見ても、諸外国と比べて劣悪な状況下であることを指摘している。これを改善することなく、教育の改善を唱えるのは的外れであると述べられた。

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