2015-04-23
昨日、授業で overhead rack という英語が出てきた。英語の文は、「その荷物は overhead rack に置いてください」というような簡単な文である。私がこの語句を「網棚」と訳したら、学生たちは「網棚」などという言葉は聞いたことがないと言う。そこで私の方から逆に学生たちに、通学の電車の中で、頭の上にある棚は何と言うか、と質問した。すると学生たちは迷っていた。つまり、そこに物を置いた、という経験がないらしい。その存在を意識したことがないようだ。ようやく一人が「単に棚と言うだけ」と答えた。そして、学生たちは「時代の差ですね」と私をからかう。
「網棚」という言葉が死語になったのか、と驚く。何十年も昔だが、電車を利用していた頃、雨の日だったが、重たい荷物を網棚にのせたら、荷物についた水滴が落ちて下に座っていた人から睨まれたことを思い出した。また腹痛がして慌ててトイレに駆け込んだら、カバンを網棚に置き忘れたことがあった。結構大切な書類が入っていて遺失物として届けられてないか探したが、ついに見つからなかった。何回か網棚に物を忘れたことがあり、段々と荷物を網棚には置かなくなり、常に膝の上か足元に置くようになった。
今日はこれから非常勤の仕事で大阪の方に行くが、あらためて乗り物の中の棚を確認するつもりだ。バスと電車に棚はあるのか。昔はバスの中にも網棚はあったようだが、今はないのではないか。新幹線はに網棚(網は使ってないので、荷物棚という言い方になるのだろう)はあるが、地下鉄や電車の棚はどのような形になっているのか。
学生との年齢が離れてくると、自分は、学生たちにとっての死語を連発することに気づく。「お下げ髪」という言葉を使ったら学生は誰も知らなかった。「下駄」「手ぬぐい」などはさすがに知っているだろうと思うが、今度聞いてみたい。
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(補足)
今日は実際に電車に乗って確かめた。やはり網棚はある。阪急電車の棚は曇りガラスの板で出来ていた。しかし、地下鉄御堂筋線と南海電車は網棚があった。棚は網状の形状であった。それから、授業でCDプレイヤーを間違って「カセットレコーダー」と言ったら、何人かの学生が「なんだ」と不思議がっていた。その横の学生が「それはカセットテープを使う器具」だと教えていた。CDプレイヤーは知っているようだが、カセットレコーダーという語も死語になりつつあるようだ。