『1984年』

Pocket

2015-06-10

ネットで次のようなニュースを見つけた。ある男性芸能人が銀行に訪れたところ、銀行員の女性がその人の免許書のコピーを記念に家に持ち帰った。また、そのことを娘に話したら、娘が芸能人の来訪を twitter に書き込んた。そしたら、その記事が拡散して大騒ぎになったとのことだ。銀行は個人のプライバシーに関する守秘義務の違反で謝罪した。

免許書をコピーしたり、その話を twitter で述べた母娘は軽い気持ちで行ったことと思う。しかし、現代という電子社会の恐ろしさに対する無知を示すものである。母親はおそらく銀行を自主退職、あるいは懲戒免職となるのであろう。人生どこに落とし穴が待ち構えているか分からない。

私のブログも電子社会の恐ろしさを常に意識している。学生の写真を載せるときは、前もって学生の承諾を得ている。写真はできることならば、小さい写真、あるいは、ぼやけた写真を選択している。また、学生の名前だが、それは掲載しない。掲載する場合でも、せいぜいイニシャルに留めている。

しかし、授業の概要の報告をするブログはできるだけ写真も載せたい。その方が学生は緊張するし、また励みになるとも考えるのである。でも、そのような考えは改めるべきかもしれない。今まで以上に個人情報の保持には注意を払わなければならないようだ。

もっとも、こんな無名の英語教員のブログに誰が注意を払うのか。自分は考えすぎ、自意識過剰ではとも考えたりする。しかし、少なくと今度からは、授業の報告は、発表者の顔写真は特定できないような遠くから撮ることにすべきと考える。教室の一番後ろから撮影すれば、問題ないのではと考える。

自分のブログは、いろいろな制限を課している。政治的なことは述べない。また、宗教的なことも述べない。自分は言語政策を専門にしているので、どうしても政治的なことも述べたいが、一般的な原則を述べるだけにしている。また、人の名前はイニシャルにしている。しかし、研究発表会の様子などは報告者の本名を載せてもいいといいと考える。一般を対象とした報告ならば、むしろ本名を記して発表内容を報告すべきと考える。

ネット社会の倫理はこれから定まっていくことと思う。しかし、マイナンバー制の導入、町の各所に設置されるモニターカメラなど、個人のプライバシーが次から次と暴かれる時代になってきた。昔は犯罪を犯しても、隠れ場所があったが、ネット社会では、顔写真や経歴や住所などが一挙に拡散してしまう。『1984年』の世界になろうとしている。

スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください