2014-09-20
「外国人高齢者のかかえる言語問題」というタイトルでJACET言語政策研究会(工学院大学新宿キャンパス)で発表をした。母の介護や高齢の外国人の方々とのおつきあいの体験から、普段から自分で考えていることをまとめて小1時間ほど話をした。私は発表では「外国人が日本に移住してきているが、この人たちが高齢化した場合、どのような対策を講じるべきか」について注意を喚起して、とくに言語問題に関していくつかの問題点を指摘した。
この件に関して、何人かの人々から情報提供をいただいた。それらをいくつかまとめる。
◯高齢の外国人が認知症になった場合、日本語でのやりとりよりも母語でのやり取りが必要と思われると述べたら、ある人が、「自分は認知症の父親の介護をしているが、父親は若い頃に話していた方言で話すようになったので、意思疎通のために自分も方言を使うようになった」と実体験を話してくれた。なるほど。
◯社会言語研究会での発表をある人が紹介してくれた。その発表は、「病院で介護する人と高齢者の会話を録音して分析したら、一つは介護する人は幼児語を使っているが、これは高齢者のプライドを傷つけるものではないか、二つ目は病院はとても忙しくて、また時間がいくつか決まっているので、介護も時間に追われている。すべてにおいて高齢者に急がせているが、これは問題ではないか。」との内容であったとのこと。これまた、なるほど。
◯数年前に鳴り物入りで始まった外国人看護師候補者の国家試験の合格率が低いことを述べたが、ある人から「この制度はうまくいっていない。受け入れた病院も採算がとれていない。送り出し国でもこの制度が機能していないことが知れ渡り、熱がさめているようだ。ただし、介護士の制度の方はまだうまく行く可能性はある」とのこと。これも有益な情報であった。