2015-08-07
ヨーロッパではCEFR(ヨーロッパ共通言語参照枠)が言語教育の基準となっている。評価、到達目標などをCEFRでのどのレベルであるか示すことで、ヨーロッパのどこの国の語学教育でも学習の水準に共通理解が可能になる。それは大きく分けて6段階で基礎から応用へと並べると、A1, A2, B1, B2, C1, C2 となる。
例えば、私が選択授業を受け持って学生に案内をするときは、「この授業はB2レベルの学生を対象にします」とアナウンスすれば、受講の目安になるわけだ。ヨーロッパのように留学が盛んで、他国の他大学で勉強することが稀ではなくなると、留学先でもどのレベルの語学学習をすればいいのか示してくれるCEFRは、とても便利である。
ヨーロッパでは教科書を購入するとき、あるいは参考書を買って勉強しようとすると、表紙にどのレベルかが書いてあるので便利である。左の写真は、トルコ語の教科書だが、右下にA1, A2 レベルを対象にしているとの表示が出ている。
ヨーロッパという域内を超えて世界的にこの基準が広がりつつある。しかし、日本ではまだまだかもしれない。現在の大学教科書では、CEFRの基準ではなくて、TOEICの何点レベルを対象にするという表記が一般的である。「このリスニングの教材はTOEIC 450点を取ることを目標にする」とあると、何となく納得してしまう。
しかし、日本では名高いTOEICの基準も世界的にはまだ認知されていない。受験者の大半が日本と韓国の学習者であるという点からも、その偏りがうかがえる。
NHKではいち早く2014年から英語関係の教材はすべてCEFRのレベルを示すようになってきた。下の表を見てほしい。一番基礎のA0というレベルはNHK独自の基準だろう。ヨーロッパ諸国は言語の共通性が高いので、始まりはA1としてもいいが、日本語のような異なる言語を背景とする学習者はもう一段やさしめの基準を必要とするという考えのようだ。