2015-08-24
昨日の英語総合教育学会の時に、成田教授は「和訳は副産物」という言い方をしたが仲々上手いことを言うなと感心した。「英語の学習において一番大切なことは英文の「構造解析力」をつけることである、そのためには和訳をすると良い、構造解析力を身につける時に生まれる副産物が和訳である」と言われた。
自分は英語の教員を長年してきたので、このことの意味がわかる。英語をマスターする一番の近道が文法能力、つまり構造解析力を身につけることである。(大切なことなので、下線をひいた)。英文を見て、主語がどれで動詞がどれで目的語がどうかということさえ分かれば英文の解釈はたちどころにできてしまう。逆に英作文も簡単にできてしまう。
もちろん、専門書などは内容の難しさがあるので、英文さえわかれば全て理解できるということではないが、少なくとも英語の上での問題点はほとんどクリアーできる。
英文の構造解析力を身につけて会話学校に行けば、たちどころに上達してしまう。留学してもすぐに専門的なことを議論しあうことができるであろう。
むかしの大学教育はエリート教育であった。高度な英語運用能力を身につけて専門書をどしどし読んでいくことが要請された。しかし、現代では大学教育が大衆化している。多くの学生が英語を学ぶのは、英語圏の国々に行って、買い物をするとか、ホテルを予約するとか、バスに乗ることが目的である。
そのためには、英語のフレーズを覚えることが一番大切である。買い物には定型の表現が決まっている。ホテルの予約やバスに乗る時も同様に決まっている。それらのフレーズを正確に発音して、また聞き取る訓練をすればいい。繰り返して何回も訓練することが必要である。
学生は大学に入学したら早々に英語に関して自分の態度を決める必要がある。高度の英語運用能力を身につけようとするのか、英語圏での旅行英語を身につけるのか、の二者選択である。英語で食べていこうとするならば、前者の道であろうし、英語と関係ない仕事に就こうとするならば、後者の道を取ることになる。
とにかく、英語を体系的に覚えること、構造解析力をつけることが、英語マスターの一番の近道である。またこの方法が一番覚えることを少なくて合理的な方法なのである。例えて言えば、レストランの経営者が客の好物を覚えるのに、山田さんは冷やし中華、高橋君はこってりとしたラーメン、佐藤さんはあっさりとしてネギラーメンと一人一人覚えるのでは、せいぜい100人ぐらいの好みを覚えるのがやっとであろう。しかし、60歳以上の人はあっさりした味、女性はやや甘い味、若者は脂っこいものというふうに分類して、人の好みを構造解析して覚えておけば、新しい客が来てもどのようなものが好むかすぐに見当がつく。ラーメン屋でたとえたが、要は分析して法則を覚えればいくらでも応用できるので、それが一番合理的で労力のかからない方法なのである。