卒業生が来る

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2015-09-15

今日は卒業生が研究室に来た。卒業生は今年度ある国立大学の博士課程を修了して、この9月、博士号を取ったのである。彼女は岡倉天心を研究して博士号を取った。

この卒業生は本学の修士課程に在籍していた時は、私が指導教授であった。お茶の作法の時に動かす体の動きが文化史的にどのように分析できるのか、という視点からの研究であった。そして、お茶の儀式の時の様々な体の動きが日本文化におけるさまざまな動きと結びついているという結論の修士論文であった。日本では風呂敷をたたむことからも伺えるように「たたむ」という動きは日本文化を理解する上での基本的な概念(動き)である。これがお茶の儀式にもつながっているというようなユニークな発見もした。

かなりユニークな研究であり、そこをもう少し研究したいという気持ちから、彼女は国立大学の博士課程に進学したのである。そこの指導教官の先生の意向もあり、お茶の作法の動きの研究から、もっと精神的な視点の研究に移行した。具体的には岡倉天心の思想の発展の跡を追う、という研究であった。

この日は彼女は卒業論文の立派な製本を持ってきてくれて私に贈呈してくれた。黒塗りの表紙で、200ページ以上もある。重厚な内容の研究であることを思わせる立派な製本であった。

博士号を取ったらお祝いをしてあげると以前から約束していた。お祝いと言っても、彼女は既婚者なので、高級レストランで二人でお酒を飲みながらの会食では彼女も気が重いだろうと察して、お昼に、学校近くの焼き肉店で一緒に食事するという風にした。

食事をしながら、彼女から岡倉天心について色々と教えてもらった。岡倉天心はスキャンダルで東京美術学校を免職となり、それが契機として彼の関心は美術から東洋思想に転換したそうだ。ボストン美術館で職を得るまでの6年ほどに彼の思想にどのような変化があったのか、いろいろな資料を集めて卒業生は仮説を立てているようだ。

彼女はとにかく意欲的な女性である。こんど11月の終わり頃に本学で講演をしてもらうことにした。本学の卒業生たちは社会で活躍する先輩たちから講演を聞くことで、在校生にとっても励みになると思う。「新しい時代を生きる女性のロールモデル」の紹介になればと思う。

京都堀川姉小路雑貨屋「万物創造房」徒然記 より
岡倉天心、京都堀川姉小路雑貨屋「万物創造房」徒然記 より
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