2015-11-08
私たちがメルボルンの空港に到着したのは、夜の9時頃だった。長い飛行機の旅で疲れていて早くホテルに入って横になりたいと思っていた。しかし、入国審査の列は長くて時間がかかりそうであった。
私はなぜか入国審査の終わった後、係りの人が追いかけてきて”Mr. Kawahara.” と呼び止められて、再度私のパスポートを調べられた。どうしてか。パスポートの写真は10年前の写真で髪は黒かったが、今は真っ白になっているのでオカシイと思ったのか。
手荷物を受け取ってから、税関の審査を待っていたら、私を含む何名かは呼ばれて、荷物を持って並ぶことになった。絨毯がひいてあり、中央に赤い帯状な色が塗ってある。その赤色の帯の中に並んで立っているのである。すると、麻薬探知犬(sniffer dog)を係員の人が連れてきた。(麻薬探知犬の写真を撮りたかったが、撮ったらえらく叱られるだろうと思ってそれは慎んだ)
そして、並んだ人々の荷物を犬が一つ一つ嗅いでいくのである。やや緊張した様子が人々が麻薬探知犬の動きをみている。犬の嗅覚は人の何万倍もすぐれていると聞いている。世界中の空港で麻薬に対する取り締まりが厳しくなっているようだ。
マレーシアとシンガポールは麻薬に対する刑罰が厳しい国として有名である。マレーシアでは、ヘロイン・モルヒネ15グラム以上、あるいはマリファナを200グラム以上所持すると死刑が科せられる。15グラムなどは、ほんの少しの量である。シンガポールでは、アヘン1200グラム以上、モルヒネ30グラム以上、ヘロイン15グラム以上、コカイン30グラム以上、大麻500グラム以上は死刑判決を受ける。
日本人の看護師の竹内真理子が2009年にマレーシアで4キロの覚せい剤を運んだとして逮捕された。30グラムでも死刑判決を受けることがあるのであるから、130倍ほどの麻薬を運んだことになる。4キロとなるとなかなかの重さになる。彼女自身は知らない人から頼まれただけだ、と主張したのだが、状況証拠も限りなく黒に近い。最近、つい一ヶ月ほど前にはマレーシアの最高裁判所でもこの事件の上告を棄却して、死刑判決が確定した。
とにかく、外国へ行ったら、むやみに人から頼まれてからといっても、荷物の運搬をを持たないことがいいと思う。さて、メルボルン空港での麻薬検査も終了して、我々は一路メルボルンの市内地へ進んでいくのであった。