2016-03-07
退職の日が近づいてきたので、今日は研究室の書類の整理をしていた。たくさんの書類だが、シュレッダーにかけた方がいいものはシュレッダーへ、ゴミ箱にそのまま捨てていいものは捨てる、その仕事をずっと行っていた。
さて、研究室での仕事にやや疲れたので、中庭のあたりをブラブラする。そこには梅が咲いている。この木は、何年か前に病没した学生の母親が本学に寄贈してくれた梅なのである。その学生は3回生の時に、膠原病という病気になり、しばらく療養していたのだが、治療の甲斐なく世を去ったのである。
膠原病という病気の原因はまだ不明な面もあるそうだが、若い女性に多い病気だと聞く。わが子を失った親御さんの嘆きはいかばかりかと推し量ると私も沈痛な思いになる。
親御さんは娘の在学した証(あかし)として中庭に梅を植えたいと申し出られて、本学に梅を贈られた。その梅だがはじめは1メートルぐらいの背丈であったが、毎年成長してゆき、今では、3メートルぐらいまで大きくなった。毎年冬が終わりそうな頃になると見事な梅を咲かしてわれわれの目を楽しませてくれる。
二十歳前後の若さで世を去った学生、その無念な気持ち、さらにご両親のお気持ち、この梅を見るごとに自分自身もいろいろな思いがこみ上げてくる。
この梅が夭逝した学生の代わりに、成長してゆき、この大学の教職員や学生の守護神になってほしい、などと自分は少々センチメンタルなことを考えた。これも退職が近づいている自分がよく昔を思いふけったりしているからであろうか。

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