2016-03-17
私はある科研の連携研究者である。その科研は「日本に於ける言語サービスと多文化共生社会の関係を研究する」のである。その研究会の例会が昨日開かれた。場所はキャンパスプラザ京都の2階である。
それぞれが実践したこと、研究したことを披露し合って、研究成果の共有を試みたのである。面白いと思った研究実践の一つは、S先生が「やさしい日本語」の訓練を受けているという話である。埼玉のある市では、外国人住民の数が増えている。その方々に言語サービスを提供するのであるが、英語が分からない住民も多い。一番、適切なのは、日本語で、それも「やさしい日本語」で情報を提供することである。
一般の日本語を「やさしい日本語」に転換するには、やはり専門的な訓練を受けなければならない。ただ、やみくもに「簡単だろうと思われる日本語」に直しただけではうまく行かないことも多い。このあたり、専門家の目でのチェックが必要だ。
今日は、その訓練として、「普段に使う言葉をやさしい日本語にしてみましょう」という訓練を受けた。課題はたくさんあったが、その一例を示す。
「返却、記入、未加入、更新、滞納、登校、ご覧になる、ご利用になる、ご本人さまが確認できる物をお持ち下さい、粗大ゴミは来週の月曜日です、公共交通機関でお越し下さい」などの単語や文を参加者全員が一人一人「やさしい日本語」に書き直すのである。書き直した後、皆で見せ合う。そして、どちらが良いのか議論し合うのである。専門の先生がいる時は、アドバイスをもらえるが、先生がいない場合でも、皆でかき直しの妥当性を議論すれば、それはそれで有益である。
私の回答は下の画像を見て欲しい。皆さんがだいたい答えは似たものであったが、私の一つの書き直しであるが、「未加入→メンバーでない」という書き直しは妥当でないという指摘を受けた。それは「メンバー」という外来語は外国人には知らない人が多いそうだ。書き直しの時は、外来語は避けて、大和言葉を使った方がいいようだ。
そんなあと、食事会をすることになり、伊勢丹の11階のゆば料理の「松山」というレストランに行く。そこでビックリしたのは、3年ほど前の卒業生のYさんが従業員として働いていたことだ。彼女とは卒業式以来、何年ぶりの再会か。
さて、「松山」での料理、極めて美味しくて、良く工夫された料理であった。窓からの展望が素晴らしくて、京都タワーが間近に見える特等席であった。食事の終わりには、私は皆様から花束をいただき、またメッセージの台紙をもいただき、恐縮の次第である。
この研究会の皆さんとは外国での学会発表や2冊のテキストの編纂など思い出でが多い。
メンバーの方々、これからも研鑽を積まれて、日本の言語政策のあり方に一石を投じて欲しいと願う次第である。皆様へご健勝であれ!
