2016-06-16
日本に滞在する外国人に言語サービスを提供する場合だが、彼らが分かる形で言語サービスを提供する必要がある。様々な国からの訪問者がいる。彼らのすべてに分かる言語を提供するのは不可能である。たとえば、パンフレットではスペースに限りがあり、選択する言語は選ばなければならない。その場合の考え方として、以下のように考えられるだろう。
(1)用いる言語数をかぎる。たとえば、日本によく来る観光客の数を考慮して、日本語、英語、中国語、韓国語の4つの言語を用いる。すでにこれは、特に、観光地では、この4言語での表記が常識化している。さらに、中国語では簡体字に加えて繁体字での表記も見られる。
日系ブラジル人の多く住む地域では、日本語、英語、ポルトガル語などによる表記が見られる。これらは地域の特殊性を考慮した上での言語種の選択である。
(2)絵文字を用いる。トイレ、禁煙、止まれ、などの意味は絵文字(ピクトグラム)でも示すことができる。そして、絵文字は普遍性がある。よほどの文化的な違いがない限りは、絵文字は誰でも理解できるのである。しかし、問題点は抽象度が高まると表現できなくなるのである。あくまで日常的・具体的なことだけに関して効果がある。
(3)やさしい日本語を用いる。日本に長く住んでいて定住化している人々(外国人住民)は、母語がなんであれ、日本語を日常的に使い、ある程度は日本語に慣れている。そのような人々には「やさしい日本語」による言語サービスが望ましい。「やさしい日本語」に関しては、優れた研究がすでに多く存在する。
(4)「やさしい英語」を用いる。日本に観光で来る人々の相当数は英語を理解する人である。ネイティブレベルの人もいれば、ある程度英語を理解するというレベルの人もいる。全体数は後者の方が多いであろう。同様に、日本に長期滞在する外国人も、英語を理解する人が多くいる。そのような人の存在を考えると「やさしい英語」によって、言語サービスを行うことが望ましい。
(続く)「やさしい英語」に関して論じていく。