現代に求められている言語政策は何か?

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2016-07-28

現代に求められている言語政策は何か?それは多言語多文化共生社会を真に成り立たせるための言語政策である。しかし、そのことへの意識は政府はあまり高くはないようである。むしろ地方自治体がそのことの意味を深く理解している。増加する外国人住民との接点があるのは地方自治体である。

自治体の窓口に、市民課や福祉課に、外国人はいろいろな相談で来る。たとえば生活保護の相談である。ここでは外国人住民への情報をどのようにスムーズに提供するかが問題になる。パンフレット、ウェブサイト、窓口相談など、さまざまな媒介を通して、外国人住民の生活を改善しようとしている。この問題を乗り越えると、理想的な多言語多文化共生社会への道のりが見えてくる。

いま、中央政府が考えているのは何か。一つは教育の場における英語教育の強化拡充であろう。諸外国との貿易戦争、特に東アジアの中国、韓国、台湾などと過酷な貿易戦争を行っている。産業界が、日本人のこのままの英語力では戦えないと政府に泣きついている。早急な改善策、対策を要求しているのだ。

そのために、小学生から英語の授業を、当初は外国語活動というネーミングで、次には、教科化を図り、コマ数も増やし、英語教育の開始の前倒しをする。東アジアの貿易競合国では、どのような英語救育を行っているか多大の関心を示しているのだ。

さらに、東京オリンピック・パラリンピックで焦点を浴びることになった、外国人観光客をどのように「おもてなし」するかの問題がある。政府のもう一つの関心は観光業を日本の主たる産業の一つにするということだ。これらの政府の意向は、観光立国計画、観光庁の設立などに現れている。

そもそも、この日本が観光の対象になるという考えは日本人はあまり持っていなかったように思える。敗戦後の日本は狭い家、狭い泥だらけの道、不十分なインフラ、貧しい日本、こんな日本を見に来る物好きはいないと思われていた。

しかし、いつの間にやら、2000万人近い外国人観光客が訪れるようになってきた。非英語圏の国々の最大の悩みは外国人観光客への言語問題である。どうしたら分かりやすい標識、観光案内、パンフレットを作成するかである。(英語圏ならば、観光客の多くは英語を勉強して、理解しようとする)しかし、日本語を学ぶことに関心を持たない外国人観光客に、どのように情報を伝えようか工夫が必要である。

昔の言語政策は、植民地支配と国内統一が最大の関心事であった。現代の言語政策の関心は、多言語共生社会へのスムーズな移行と、英語教育の強化(もちろん、非英語圏の場合だが)、そして観光業の育成である。

これらは、多くの国が抱えている課題であろう。

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