2016-09-17
世界言語権宣言(せかいげんごけんせんげん)とは何か?
1996年に民間の世界言語権会議で「世界言語権」が採択された。言語権を人間の保障されるべき一つの権利であると明確に宣言したのである。そこでは、言語権は個人的権利であると同時に集団的権利であるとされている。民間の団体の宣言であるために、認知度は低いのであるが、今後はユネスコ、国連での採決が期待されている。なお、詳しくはこのサイトに記されている。下にその言語権宣言の訳文を転記する。
世界言語権宣言(1996年、世界言語権会議で採択)
第3条
1 この宣言は、以下の権利を、どんな状況でも行使できる不可分の個人的権利と考える。
ある言語共同体の成員として認められる権利
私的、公的に自己の言語を使う権利
自己の名前を使う権利
出身の言語共同体の他の成員と関係をもち、交流する権利
自己の文化を維持し発展させる権利2 この宣言は、言語集団の集団的権利が、前項における言語集団の成員に属する権利に加えて、また第2条第2項に述べた条件通りに、以下の権利を含むものと考える。
自己の言語、文化を教わる権利
文化的サービスにアクセスする権利
コミュニケーション・メディアにおいて、自己の言語と文化が公平に存在する権利
政府機関から、また社会経済的関係において、自己の言語で注意を払われる権利3 前項に挙げる個人と言語集団の権利は、そのような個人または集団とホスト言語共同体との相互関係またはその共同体への統合を決して妨げてはならない。また、領域的空間のどこでも、共同体自身の言語の十分な公的使用について、ホスト共同体またはその成員の権利を制限してはならない。
第4条
1 この宣言は、他の言語共同体の領域に移動し定住する人々は、その共同体に統合する態度を維持する権利を有し、義務を負う、と考える。「統合」というこの言葉は、定住した社会との間で十分な基準、価値、行動形態を共有して、ホスト共同体の成員が経験するより大きな困難なしで社会的に機能することを可能にしつつ、本来の文化的特性を保持するようなあり方での、そのような人々の追加的な社会化を意味すると理解される。2 この宣言は、他方で、独自の文化的特性をホスト社会の規範、価値、行動の形式によって置き換えられるような形でのホスト社会における文化受容を意味する「同化」は、強制または誘導されてはならず、全く自由な選択の結果においてのみ可能であると考える。
第10条
1 すべての言語共同体は、平等の権利を有する。2 この宣言は、政治的な主権の程度、社会的・経済的・または他の見地から定義される状況、言語が文字化、現代化、または近代化されている程度、または他のどんな基準を基にしても、言語共同体に対する差別は認められない、と考える。