DVD『ゲド戦記』を見る。

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DVD『ゲド戦記』を見た。面白いDVDであり、飽きないで最後まで見ることができた。ストーリーは結構難しいところがあり、全体像はよくはつかめない。でも、自分が面白いと思ったのは、まことの名前を知ると、その人を支配できるという点だ。

このストーリーでは、アレンという名前の男の子が主人公だが、魔女クモに、まことの名前を聞かれて、薬を飲んだせいか、「レバンネ」と言うまことの名前を教えてしまう。それゆえに、魔女クモに精神を支配されてしまう。そして悪党どもの一味に入ってしまう。

女主人公である、テルだが、最後の場面で、アレンからまことの名前である「テハル」と呼びかけられると本当の姿である龍に変身して、二人は高い塔から脱出できる。

まことの名前を知ることで、相手を支配したり、相手に本当の姿を見せるようになる。この概念はかなり古くから、しかも世界中で普遍的に見られる。

フレイザーの『金枝編』では、小さな子どもを守るために、普段使うのは、あだ名を用いる。抵抗力のまだ弱い子どもは、本当の名前を知られると簡単に支配されてしまう、と考えられている。それゆえに、悪霊の潜んでいそうな沼や森の近くでは、決して、子どもたちの本当の名前を呼ばない。

万葉集の冒頭の歌、雄略天皇の歌として次の歌がある。

籠(こ)もよ み籠(こ)持ち 掘串(ふくし)もよ み掘串(ぶくし)持ち この丘に 菜摘(なつ)ます児(こ) 家聞かな 名告(なの)らさね そらみつ 大和(やまと)の国は おしなべて われこそ居(お)れ しきなべて われこそ座(ま)せ われこそは 告(の)らめ 家をも名をも

下線部の「名告らさね」(名前を教えて下さい)であるが、相手の名前を知ることは相手をコントロールする、深い仲になることを意味する。つまり、求婚の歌なのである。そして、自分の名前も教えている。これらは、当時の人々の盛っていた言霊の感覚、名前の持つ神秘性がうかがえる歌である。

現代でも、恋人の名前を教えるのはためらう。つまり恋人の名前を知られると、その人に恋人を支配されて、恋人を失うかもしれないという恐れであると思われる。

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