科研の会議が京都テルサで行われた。

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9月22日の午後3時半から、京都テルサ(京都府民交流プラザ)で科研の拡大会議が行われた。この科研グループの研究の題目は、「高度翻訳知識に基づく高品質言語サービスの研究」である。研究代表者は佐良木昌先生(明治大学・研究推進員)であり、分担者として阪井和男先生(明治大学・教授)と私(河原俊昭、岐阜女子大学:特任教授)である。連携者として、他に3名の研究者の方々が登録されている。

今回はこの科研のメンバーの人に限らず、研究会「思考と言語」のメンバーも含めて10名以上の参加になった。初めに、研究代表者の佐良木先生から挨拶があり、同氏による研究発表があった。発表の題目は、「高度翻訳知識に基づく高品質翻訳サービスの研究」であった。

興味深い点として、collocations の条件として、語と語の結合の強度に従って free combinations – collocations – similes – idioms といくつかのステージを想定していることだ。その強度を測定する規準として、頻度、共起制限、意味の特殊化があるそうだ。私見だが、翻訳をしようとする場合、free combinations では構文分析から入ってゆく。idioms になると一対一対応で翻訳が行われる。問題はこの両者の中間に位置するcollocations の訳し方だ。idiom ほど固定化されていない。しかし、ある程度の自由度がある。これは翻訳を行おうとする場合は、両者の狭間にあるのであり、かなり厄介だなと感じた。

次は河原の発表で、「観光英語を中心とした高品質な言語サービスの研究」というタイトルであった。内容は、日英語翻訳の場合、直接翻訳を行うとするとかなり難しいので、それぞれをいったん、Easy Japanese, Easy English に組み直して、Easy Japanese – Easy English どうしの翻訳にした方が、つまり、プロトタイプ同士の翻訳にした方がスムーズになるのではという問題提起であった。

そして、阪井和男先生の「コミュニケーションの創発とサービス創新についての研究」であった。阪井先生は明治大学のサービス創新研究所の所長である。創発と創新という概念はかなり目新しいものである。今度機会があれば、じっくりとこの二つのあたらしい「概念」についてお聞きしたい。

テルサ建物
宮崎先生の発表

そして、宮崎正弘先生(新潟大学名誉教授、株式会社ラングテック社長)より、「和文単文の英訳指向書き換えー日英単文翻訳の高度化を目指してー」という発表であった。翻訳の技術の日本における歴史やその問題点などを詳しく説明された。go blind, go mad のようなイディオム的な語の翻訳も一対一対応での翻訳ではなくて、できるだけ意味的な情報、例えば、「go + 形容詞の場合はネガティブな意味合いを含む」等の情報を翻訳システムには入れていきたいとのことであった。

その他、いろいろと興味深い発表はあったが、割愛させていただく。

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