2014-11-15
勤務校では、ホームカミングデディの催しとして「生きるを伝える」という松田陽子さんによる講演があった。非常に感動する内容であり、この人の人生観に共鳴する点があったので、若干、その内容を紹介したい。
松田陽子さんは、一見すると明るくて元気いっぱいの女性のように見えるが、実は暗い家庭に育ったとのことである。自分の家庭を悲惨であったと形容している。父親がDVで母親が何回も殴られて、母親が情緒不安定になり、自分自身も小学生の頃は、暗い性格で、人と目を合わせることができなかったという。小学生ながら、自殺を考えたという。
しかし、16歳の時にアメリカに留学して、アメリカで人生観が変わったとのことである。日本にいる時は、人と変わったことはしないように、人と同じことをしようと心がけていたが、アメリカでは人種も異なり、みんなが個性的であり、みんなが異なっていてことが当然とされる国であるとの事である。自分のそのままを肯定的に捉えるようになったようだ。
カリフォルニアからニューヨークに行き、歌手になりたいと強く願っていたら、地下鉄で偶然ギターを持った黒人のおじさんから話しかけられ「NYで何をしたいのか」と問われて、”I want to be a singer.”と答えたら、その人はブロードウエイにあるマリオネットホテルで歌う仕事を紹介してくれたそうである。何かになりたいと強く願うとその願いが実現するのだ、というのが松田陽子さんの人生観の一つのようだ。
彼女は結婚して、子どもが生まれて、非常に嬉しかったとのこと、自分は暖かい家庭に恵まれなかったので、何とかこの子には暖かい家庭の幸せを与えてあげたいとの熱い思いがあったとのこと、そして、自分の子どもはとても可愛くて、腱鞘炎をおこすぐらいに子どもをいつまでも抱いていたそうである。
しかし、偶然に癌検診を受けたところ、子宮頸がんであると診断されて、手術での生存の可能性が半々であったが、無事に手術は成功したが、子宮は全て取り出したそうである。しかし、そのうちに鬱になり、対人恐怖症、被害妄想におちいり、精神安定剤を飲んだりしたが、なかなかよくならなかった。そのうちに夫が愛人をつくり去っていき離婚となったそうである。
しかし、難民問題を取り扱った映画 Beyond Borders を見てから人生観が変わり、すこしずつ前向きな態度へと変えていった。今では、家の中でもごろんとしていないで、常に行動をしている。「いいわけをしたら切りがないので、やらないことの理由を見つけない」が松田さんの人生観である。今は、DV問題、子宮頸がんの検診の重要性を語ったりして色々なところで活動しているそうである。
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人生の地獄を見た人、死と直面した人の講演であり、非常に迫力があった。やはり自分の体験に基づいた話は面白い。この人は43歳とのことだが、10歳は若く見える。また講演の話し方がとても上手である。声の出し方、場の盛り上げ方、ジェスチャーなど、自己プレゼン力が高くてさすがにプロである。