2015-01-10
学生が授業で色々な発表をするときに一番のソースとするのは Wilkipedia である。私の立場としては、従来は Wikipedia を使うことはあまり奨励していなかった。Wikipedia には頼らないで、その代わりに、自分で図書館で資料を見つけ、現地を訪問して、アンケートをして、あるいは関係者にインタビューして情報を集め、その情報を組み立てて発表の草案、レポート、論文を書くようにと指導をしてきた。
しかし、何と言っても Wikipedia の便利さは驚くほどである。森羅万象、全てに関する知識がパソコンの前にいるだけで得られるという夢のような時代がやってきたのである。情報量では他の媒体を圧倒する。以前、自分は平凡社の百科事典を持っていた。確かに便利だったが、大部なので使いにくくて、結局はあまり活用しなかった。一方、Wikipedia は持ち運びの便利なスマートフォンを使えば、どこにいても利用できる。
Wikipedia の問題点は書かれていることがオーソライズされていないという点である。そのために、信頼性に欠けているので、論文を書くときに引用しずらい。一方、百科事典は権威ある出版社がその道の第一人者を集めて長い年月をかけて作り上げてきたので、安心してソースとして使えるという違いがある。
ただ、いろいろなことを勘案しても、現代では、Wikipedia の優位性は圧倒的である。日本語版をもしも紙媒体の百科事典に換算すると何千冊〜何万冊分の冊数になるのだろう。しかも日々更新されていき、最新の情報が掲載される。投稿者が間違った情報を掲載しても、比較的短期間に修正される。この便利なツールを利用しないてはない。英語版になるともっと情報量は増える。
結局、学生に指導することは、自分の意見と Wikipedia からの引用部分をきちんと区分けして書くように導くことだと思う。引用してきただけではダメである。それにプラスアルファとして自分の意見がどの程度示されているのか、その点を論文の価値を決めるものである、というようなことを話している。引用と自分の意見をどう分けるか、そのことをどう表記に示すかが問題である。将来は、引用部分は文字の色を変えるか、フォントを変えて示すということになるのでは。