2015-03-11
次男が不要になったとして幾つかの学習参考書をもらった。その中で面白そうな本を見つけた。桐原書店編集部(編)『テーマ別攻略 現代の評論』(桐原書店、2013年刊)である。すぐれた評論家の文章をちょうどまとまりのいいところで切り取って高校生に提示している。論理的にも明快なので、読んでいて役に立つ。
これとは、別に最近ネットでENJILOG (http://rentalhomepage.com)というサイトを見つけた。その文章が非常に洗練されている。横書きで文字の大きさや写真の選択など、かなりの時間をかけて、読者に有効にメッセージを伝えようとしたことがわかる。大変な迫力である。
私は時代の変化を見る。桐原本に盛られたような一流の評論家の文章、縦書きで明快に書かれた文章から、名もないEnjilog運営者の文章への移行を見るのである。彼のサイトの利点は、次から次とコメントが寄せられて、それに応じて、内容の改善が常に行われている点である。そして、誤字脱字などは即座に訂正できうる。非常に動的である。
高名な評論家が書籍という形で出版すると、それは定まってしまう。どんなに考えて考えて文章を仕上げ、自分の思想を丁寧に盛り込んでも発表された瞬間にそれは止まってしまう。改訂版がでるとしても稀である。昨今の出版事情からは多くの本が初版で終了する。
高名な評論家と無名なブログ主との対決はどうなるか。文章の作り方、言葉に対しての感覚が両者では全く異なる。驚くほどである。この対決をもう少し、あと100年ほどは生きて見てみたいのだが。
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