Language and Linguistics in Oceania の第10号を読む。


小松公立大学の岡村徹先生から、Language and Linguistics in Oceania,  vol. 10 の寄贈を受けた。ここに感謝の意を表明して、この学術誌の簡単な紹介をしたい。

この学術誌は、学会 The Japanese Association of Linguistics in Oceania が発行している学術誌である。この学術誌のサイトは以下の通りである。

さて、2018年の7月に発刊された第10号に関して、二つの論文を紹介したい。一つは、林初梅氏による「国語と母語のはざま ー多言語社会台湾におけるアイデンティティの葛藤ー」という論文である。

この論文では、台湾が経験してきた言語文化の変化を俯瞰したものであり、自分のような部外者にも非常に分かりやすかった。

歴史的に(1)先史時代~(7)戦後と7つの時代に分けて、それぞれを説明している。1945年以降の戦後は特に詳しく述べられている。この時代は現代につながるわけだ。この時代は、二つに、国民党が政権についていた時代と台湾意識形成発展期に分けられる。

この時期(2003年)に、中国語を「国語」と表現していたのだが、「華語」と呼ぶかえる運動があったこをと始めて知った。東南アジアでは、華語と華人という言い方をよく聞くが、この動きが台湾にも普及してきたようだ。

台湾では台湾生来の言語を「郷土言語」と呼び、言語間の平等を目指す政策が誕生しつつある。このあたりも、私は、日本の多文化主義と比較しながら興味を持って読んだ。

さて、もう一つの論文「宜蘭クレオールの語彙の様相ー東丘村の場合ー」も興味深く読んだ。これは、日本語と台湾の諸語とのクレオールが存在していて、現在もまだ残っているという話である。

宜蘭(ぎらん)クレオールについては、先日このブログでも、紹介をしていた。

論文を読んで学んだことは、宜蘭クレオールの日本語起源の語は代名詞や機能語がおおいこと、さらには西日本の方言に由来する語が多いことだ。

宜蘭クレオールはゆくゆくは消滅する語かもしれないが、研究調査によって貴重な資料が作られたことは素晴らしいことだ。

この学術誌 Language and Linguistics in Oceania の第10号には、これ以外にも三編ほどが収録されている。一つは中国語で書かれていること、他の二つは、方言の言語的機能に関する論文であったことで、私にはその3つの論文をコメントするだけの力はない。

以上、寄贈をしていただいた学術誌を紹介した。岡村先生には深い謝意を表明したい。

学術誌 LANGUAGE AND LINGUISTICS IN OCEANIA の表紙

 

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イオン高槻で買い物をする

2015-02-14

今日は高槻のイオンに家内と買い物に行った。イオンの勢いは止まらないように見える。京都でも次から次とあたらいいイオンがオープンしている。新しいイオンは、作りがモダーンになっていて垢抜けしている。しかし、高槻のイオンは古いイオンに属するようだ。外壁は古ぼけて内装もやや垢抜けしない。

新しいイオンでは、テナントが一店一店独立していて、それぞれが個性を主張しているように見える。桂川イオン、改装された久御山イオン、京都イオン、草津イオンなどである。しかし、高槻のイオンでは、テナントとテナントの境がはっきりしていない。また、天井が低いので圧迫感がある。休憩用のソファも置いてないので、ゆっくりできない。じっくりと楽しみながら店内を動き回るのではなくて、買い物を済ませたら、すぐに帰るしかない。(イオン、イオンモールという二つの名前のつけ方がある。新しいイオンは後者のネーミングをしている)

高槻のイオンは地の利は非常に恵まれている。京都から171号線を南に大阪方向に進むと左側に見えてくる。この171号線は基幹道路であり、交通量はきわめて多い。また、付近には競合する大型スーパーはない(ようだ)。我々のように京都の住民も時々は出かける。

しかし、この高槻のイオンも古さが目立ってきた。次から次と新しいイオンができるので、対照的に古さが目立ってしまう。大幅な改築が必要であろう。ただ、半年ほど休業して、増築という形をとるか、1年半ほど休業して、全面取り壊しで全く新しいショッピングモールにするか、いろいろな選択肢があるのだろう。イオンの本社の企画部では、このあたりの収支計算を何回もしながら、案を練っていることと思う。
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いまから40年ほど前は、ダイエーが飛び鳥を落とす勢いであった。百貨店からスーパーの時代に移ったと言われていた。ダイエーの売り上げが三越を抜いたと大きなニュースになった。埼玉県の志木にダイエーの新しい店がオープンしたと聞いて、わざわざ訪ねてみたことがある。店内はとても華やかで圧倒されたことを思い出す。永遠にダイエーの天下は続くのかと思われたが、やがてはダイエーも無理な拡大戦略の失敗をきっかけに衰え始めた。巨額な借金による膨大な有利子負担がダイエーの首を絞めた。いまではイオンの傘下に入っている。しかし、このイオンの勢いも「勝者必衰のことわり」でいつかは止まるかもしれない。

ここで、話が飛ぶのだが、世界に普及しつつある英語の勢いを考えると、いつもダイエーのことを思い出す。今は世界語といえば英語だが、この勢いも「勝者必衰のことわり」には勝てないだろう。英語がダイエーとすると、言語の世界のイオンは何であろうか。中国語かスペイン語かエスペラントか。まあ、日本語ではないだろうな。

中国語が世界の中心の言語へ?

2014-11-15

いま、コラムを書いているが、なかなか纏まらないので苦労している。締め切りは年末なのでまだ余裕はあるが、早く仕上げて楽になりたいという気持ちもある。

コラムだが、電子技術の進展は英語支配の強化に結びつくか、というようなテーマである。アメリカとその他の国との国力の差(政治的・経済的・文化的・軍事的・技術力など)が大きければ、次第に世界はアメリカ文化に傾き、よってアメリカ英語がますます普及する。しかし、国力の差があまりなくなり、あるいはアメリカよりも強大な国が出現すれば、アメリカ英語の普及はストップするだろう。

中国が世界のナンバーワンになるのか。しかし、世界の人々は中国にあまり魅力を感じていない。やはり民主主義が定着するまでは、世界の人々は中国に対して敬遠気味であろう。ただ、あと100年したら、さすがに中国も選挙で指導者が選ばれる国になるであろう。人々が自由に考え行動できるようになれば、13億の人口が集結しているのであるから、独創的・魅力的な文化を次から次と生み出してくるだろう。そして中国語が世界の中心の言語となるのか?

漢字の存在がどうなるか気にかかる。韓国やベトナムのように漢字を捨てた国もある。そして、それなりに経済や文化は発展しつつある。漢字の存在が人間の思考にどのような影響を与えるかまだ定説はない。ただ、失読症はアルファベットを使う言語文化の人々の間に多いと聞く。また漢字まじりの文(日本語など)では、漢字だけ拾っていけばある程度内容がわかる。つまり速読しやすいのでは。などど脈絡もなくいろいろと考えている。

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そんなことを考えながら4枚のコラムに纏めようとしている。ところで、昨晩は新しい焼酎を飲んだ。「赤猿」という名前である。美味しかった。お湯割りで3杯も飲んでしまった。自分は普通は2杯までしか飲まないので、気のせいか、軽い二日酔いを感じている。

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冠詞の使い方

2014-11-12

今日の英語の授業の時だが、大学の学長=president、小中高の校長=principal というような説明をしていた。中国からの留学生が中国では、小学校から大学まですべて「校長」と表現することを教えてくれた。ふーん。

この日は冠詞の使い方の説明を学生にした。冠詞、不定冠詞、ゼロ冠詞などでできるだけ統一的な説明をするように心がけてた。「聞き手と話し手が共通にそれである、あれである、と了解ができるもの」には定冠詞をつけるとか、聞き手と話し手が「それであると限定できるもの」には定冠詞をつける、などの説明である。そして、何とか説明をしていく。

機能に焦点が置かれる時はゼロ冠詞である、との説明もした。しかし、実際はそのような説明は無力であることが多い。to the memory of the singer, in memory of the singer のようにthe が付く場合と付かない場合がある。これはどのように説明をしたらいいのか。「そうであるから、そのまま覚えるように」というような説明は大学生になってくると納得しないのである。

ウイズダム英和辞典を調べると、write the address from memory, have a good memory for, in recent memory, to the best of my memory, Christmas memories, などいろいろある。冠詞が付く付かないに関しては統一的な説明が難しい。travel by car はいい。しかし、travel in his car がある。なんで in car とならないのか。このあたり、単純明快な説明がない。「法則の発見」は英語の学習では難しい。

mobile x-ray unit

2014-10-29

先週、母の見舞いにいったときに、医者から高熱が出て脱水症状が見られる、と告げられた。母の肺をX線で調べたが、肺は炎症はおこしていない、しかし、尿を調べると体のどこかで炎症があるのは確かだ、と言われた。私が見舞いにいくと母はたいていは目を開けていくつかは言葉を発するのだが、その時は、何も言葉を発せずに、ただ目をつぶっているだけだった。これは昏睡状態というのか?

昨日、見舞いにいくと、母は目をかすかにあげる。一言か二言かは言葉を交わすことができた。先週よりは調子は良いようだ。お医者さんも病室に来て、母の熱は少し下がって言葉を掛けると反応がある、と教えてくれた。

しばらくすると、二人の看護師さんが移動式のX線装置 (側面に mobile X-ray unit と表示があった)を運んできた。そして、病室で母のレントゲン写真を撮り始めた。私と一人の看護師さんは被爆を避けるために病室の外に出て撮影が終わるまで待機した。その時に、その看護師さんと若干の話をした。その話によれば、移動式のX線装置はすでにどこでも使われている。病室に残って撮影をしているのは、X線技師であり、彼女は撮影の時は鉛のはいった黄色いカバーをかぶって体を守るそうである。特に若い女性が技師の時は、子宮を被爆から守るために、必ず、黄色いカバー(正式の名称はあるのだろうが、その名称は聞かなかった)をかぶるそうである。

自宅に戻ってから、このmobile X-ray unit をネットで調べてみた。すると、中国製の装置がたくさんネットで宣伝してあった。私は医療機器などは先端技術なので中国ではまだまだ製造できないと思っていたが、この点で意外だった。遼寧省のあるメーカーの製品の値段は$ 57000-78000とあるので570~780万円ほどのようだ、ただFOB価格なので、これから保険や運賃などが加算されると思われる。自分の想像では、1千万円以上と思っていたが、かなり安いようだ。

先端技術でも中国製品の攻勢が激しいようだ。10年ほど前だが、カリフォルニア大学、フルトン校で開催された学会に参加したときに、中国から研究者がたくさん発表していて驚いたことがあった。13億の人間が住む国が科学技術の発展に全力投球となると目を見張ることになると思う。今の世界はアメリカの文化とアメリカ英語がスタンダードになっているが、新時代のスタンダードは、中国の文化と中国語なのか。