ドナルド・トランプ

2016-03-10

ドナルド・トランプ(Donald Trump)がアメリカの大統領予備選挙で注目を浴びている。このままで行くと、共和党の大統領候補になり、民主党の大統領候補になりそうなヒラリー・クリントン(Hillary Clinton) と一騎打ちになりそうである。今日は彼の演説のスタイルを考えてみたい。

なお、このブログでは原則として政治と宗教は語らないことにしている。その理由は、このブログの読者の多くが自分の学生だと思うが、「〇〇教は邪教だ」などと述べたら、憤慨する学生もいると予想されるからである。政治と宗教の問題には避けたいと考える。しかし、今日は例外的に主に彼の政治信条にも触れてみたい。

自分は時々トランプの演説を聴く。非常に扇情的である。また、彼の声はかすれている(演説のしすぎで声が枯れたようにも感じられる)。アメリカでは人種問題は大変なタブーで、これについて発言することは極めて慎重で、できるだけ失言しないように言葉を選んで演説をする。しかし、トランプはこのタブーに平気で突っ込んでいく。アメリカのある数の人々は、この本音を言う彼の態度に快哉を叫んでいる。

現在では、黒人、ムスリムが彼の攻撃の対象である。また、アメリカ人の雇用を奪っているとして、中国、メキシコ、インド、日本がよく挙げられる。彼が大統領になったら、貿易面で今まで以上に日本に対して厳しい注文を付けられるだろう。また米軍基地の費用のより一層の負担を要求されると思われる。

今日のラジオで、「1960年代に移民法ができて、それ以来、非白人系の移民が増えている」とKKKの指導者が語っていた。白人の間には、危機感が高まっているようだ。いままで自分たちが享受していた特権が脅かされていると感じているのだ。その反発として、トランプへの支持があるのだ。

アメリカの大統領選挙はお祭りである。言葉のお祭りとも言えよう。一番、言葉で大衆を楽しませてくれた人が大統領になる。要は演説がうまい人が大統領になるのだ。しかし、それらの演説はアドバイサーの人が書いて、大統領候補者や大統領はそれを読み上げるのある。もちろん、原案に赤を入れて自分なりにアレンジし直すことはあるだろうが。しかし、あまりに計算された上手な演説は人の心を動かさない場合がある。

トランプの場合は、当意即妙で答えているように思える。悪く言えば、深く考えていない。その場の雰囲気で演説しているように感じる。この前、共和党の大統領候補の演説会で、司会者が nuclear triad (核戦争を行う3つの道具、潜水艦、爆撃機、大陸間弾道弾)をどう思うかという質問に対して、nuclear triad という言葉を知らなかったトランプは、顔色変えずに、なにやらペラペラしゃべって司会者を煙に巻いていた。たちどころに言葉の煙幕を張れる彼の答えは驚きでもある。

トランプは常に「自分は安全保障の問題は自分はどの候補者よりも詳しい」と豪語していたが、nuclear triad のような安全保障の最も基礎的な事項を知らなかった。そのことで、即刻、マスコミから叩かれていた。しかし、トランプは平気である。マスコミや他の候補者を平気で罵倒する。逆に、悪口を言われても平気である。彼は以前行った演説との相反することを言っていると指摘されると、I am changing. と顔色変えずに語る。日本での候補者ならば、言葉を濁して何とかつじつまをあわせようとするだろうが、かれは平気だ。

彼が大統領になったら、(その可能性は高いが)、国際社会はどうなるか。日本にも大きな影響があるであろう。 日本政府はそのことも予期しておき、その対策を今から準備しておく必要がある。

photo credit: Donald Trump via photopin (license)
photo credit: Donald Trump via photopin (license)
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黒人暴動と独立戦争の関係

2014-11-28

Fox News Radio を聴いている。John Gibsonが司会をしている John Gibson Radio Special という番組を聴いている。白人警察による黒人の少年の射殺について視聴者と電話でトークしている。いろいろと気づいたことを箇条書きで書いてみる。

(1)アメリカは広い国であるから日本のように対面で話し合うことができないことが多い。それゆえに、電話でのトークとかインタビューが頻繁に行われる。

(2)Fergusonでの大陪審の決定、警察官を起訴しない決定は、黒人を怒らせてたくさんの暴動が起こった。暴動による放火、略奪が生じた。このことがアメリカで一番の話題になっている。

(3)黒人の言い分を聞くとなるほどと思う点もある。メディアは白人の支配にあるが、それでも何らかの公平さを確保しようとする態度があり、そこから垣間みられる黒人の主張には、ある程度の根拠があるように思える。これはメディアリテラシーとも関係する。

(4)警官は普通は cops ということが多い。改まった言い方だと police officers と言っている。policeman はPCの観点からも好ましい言い方ではなくなったようだ。

(5)Black Panther の指導者で弁護士(attorney) とJohn Gibsonが議論をしている。指導者の名前はMr. Sibers と聞こえるが、ネットで調べてもこの名前は見つからない。私の聞き間違いだろう。この人を指導者と呼ぶ。指導者の論理を聴いてみると、肯定する面もある。

(6)この指導者は Bill of Rights を自分の論理の根底に据えている。アメリカは400年にわたり白人が黒人を支配してきた。その度合いは、かって英国がアメリカを植民地として圧政をしいた時と比べて100倍も悪質だ。いま、黒人が行っていることは、Exercise constitutional rights であるのだ。Police are shooting us.とも言っている。Police are killing us.とも言っている。militarized policeとも言っている。白人警察への強い憎悪が見られる。それに対してJohn Gibsonはたくさんの警官が殉職しているという事実を挙げていた (Thirty-seven police officers were killed on the service last year)。

(7)この指導者は、黒人への差別を Institutional racism と呼び、アメリカという体制そのものに由来すると考える。そしてメディアをWhite Mediaと言ったり、Gibson 個人に対して pro-police であると言ったりしている。,

(8)この指導者は暴動、略奪、放火は、黒人の正当な意思表示の方法であると述べている。そして、イギリスから革命によって独立を勝ち取ったことに譬えて、これらの暴動は革命である、と述べていた。

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独立戦争でイギリスからの独立した過去を、黒人達の現在の逆境に譬える理屈はよく分かる。しかし、現在は民主主義は機能しているのであり、投票という形式で自分の意志を表明することができる。現にたくさんの黒人政治家が誕生している。この指導者に言わせれば、それでも白人支配は目に余り、このような形でしか抵抗を示すことができないという理屈だ。

独立戦争、銃文化、銃を持つことでイギリスからの独立を勝ち取ったという過去への誇り、などが複合すると、このアメリカの状況を説明するのだろう。やはり分からないな。

オサマビンラディンを狙う

2014-11-17

Fox Radio を聞いていたら、Robert O’Neillというオサマビンラディンを射殺したアメリカの特殊部隊の隊員の回顧談があった。聞きながらキーワードらしき言葉をEvernoteに書き込んだ。それを見ながら回顧談を再現する。また、のちほどネットで調べて人名などはスペルを確認した。

彼は、オサマビンラディン暗殺のミッションを持つ特殊部隊の隊員・狙撃者(sniper)である。隊員達はペリコプターに乗ってオサマビンラディンのcompound に向かう。途中は、隊員達は iPod で音楽を聴いていたそうである。世界でもっとも捕まえたい男(The most wanted man in the world)へと向かう。到着したら一機のヘリコプターは故障したが、隊員達は無事であったとのこと。到着したら、建物の中を部屋毎に捜索する(room by room)。鍵がかかった部屋は開けて二階に進む(Doors were locked. They blew up.) 二階(second floor)でも、部屋を順番に調べていく(cleared room by room)。家の中の人たちが suicide belt をつけているのではと注意したとも言っていた。

15 minutesほどで終わったそうである。この隊員はオサマビンラディンを見つけて3発ほど顔に発砲する(shot him three times in the face)。インタビューした人が隊員にラディンは何か言ったかと聞いていた (Did he say anything?)。その隊員は Noと答えていた。そのあと、家の中を見て、Laptop computers, documents, files, papersなどを押収した。彼の体の写真が撮られた(photos were taken)。ラディンの体は a body bagの中に入れてヘリコプター(chopper)に運んだとのこと。彼の DNAは二つに分けられて(DNA divided)、別々のヘリコプターに運んだ。万が一ヘリコプターが墜落しても大丈夫なようにである。(何回もSealsという言葉が出てくるので、あとでネットで調べると、この特殊部隊の名前のようだ)

Afghanistanに戻ると、みんな喜んでくれた(Guys are excited). DNA testingをするとオサマビンラディンであると確認された。インタビューアがもう一人別の回顧録を書いた Matt Bissonnette隊員との話の違いを聞いていた。その隊員の話によれば、彼がラディンをknocked him downした。その時はラディンは definitely moving と言っていた。(そのあとは、よく英語が分からない。torsoという言葉ができてきた)インタビューアが何故っ二人の話は違うか聞くと、war is foggyなので、two storiesがあると答えていた。Different accountsがあるのは仕方がないとも答えていた。

インタビューアが彼に「あなた自身の安全(personal safety)に関して心配ではないかと聞いていたら、yesと答えていた。そして、いま、回顧録を出す理由として、「ペンタゴンは怒っているかもしれないが、自分が the 911 Memorial Museum に出かけたときに、未亡人になった奥さんたちが自分に感謝してくれた(Women cried and thanked. A single mother)とあり、また急に演説することになった(I was not preparing a speech.) そんなこともあり、黙っているのはよくない(irresponsible)と考えたし、もうI am not afraid.と述べている。

今後の予定を聞かれるとMontana に戻る予定である。そこが自分の故郷であり(his home)、そこで育った(I grew up there)であり、 そこは comfort zone であると述べていた。番組の最後は、Freedom attacked, America responded との言葉であった。

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自分の感想としては、アメリカ人と日本人の考えの違いを感じる。西洋社会では、リーダーがいて決断して遂行されていく。日本では、集団で何となく意見がまとまり動いていく。アメリカ人は911は指揮したオサマビンラディンが第一義的に責任を負うべきであると考えて、その人物を倒すことでケリをつけようとする。例えば、真珠湾攻撃の責任者として山本五十六の飛行機を待ち伏せ攻撃したり、山本五十六の故郷の長岡の町を空爆したりする。

日本人は敵のリーダーの首を狙って一件落着とする考えはない。日本では、リーダーとは順繰りに年功序列で決まっていくという発想がある。であるから、敵の親分でも巡り合わせでたまたまリーダーだろうと考える。首を狙っても仕方がないだろうと考える。くるくる変わる日本の首相をみてみると責任の取り方の考えが異なる。

ところで、この隊員はよく回顧録をだして自分の顔や名前を明らかにするなと思う。ラディンの仲間達は当然復讐を考えるだろうが、復讐の手はモンタナまでは伸びてこないと考えているのだろうか。