数日目に、授業で「虎刈り」という言葉を使ったら、学生達がきょとんとした顔をした。どうも「虎刈り」という表現を知らなかったようだ。一人の学生が「何か聞いたことがある表現だ」と述べた。そして、学生達はスマホの検索機能を利用して調べはじめた。そして、「刈り方がへたで、虎の毛模様のように段々になっていること」という回答を見つけた。私はこの表現が若い学生の間では、死語になっていることに驚いた。近年は、学生は上手な床屋や美容院に行く。学生でも1万円ぐらいかけてしっかりと髪を整える。男の子達でも、髪を整えるのは常識化しているようだ。

ところで、私も「虎刈り」で調べたら、「加藤清正の虎刈り」が出てきた。今の学生は加藤清正などは知っている人はほとんどいないであろう。学生の間での新語の登場する頻度、そして加速度的に死語が増えてゆくので恐ろしい。自分が記憶にあるので、「お下げ髪」「天然色映画」「蓄音機」などを授業でふと口に出したが、学生からは「きょとん」とされた語だ。

古い語はすたれてゆくが、その分、新しい語が生まれてくる。今日、学生からは、「げきあま」という言葉を教えてもらった。新語なのだろうな。「激しく甘い、劇的に甘い」という意味で使われるそうだ。「自校」も私は分からなかった。「自動車学校」の略だそうだ。カタカナ言葉や若者言葉の氾濫で、私には分からない言葉が増えつつある。語彙の変化は、いつの時代にもあったのだろう。いつの時代も老人は、若者の間の言葉の乱れを憂いたものだ。