清流 2015-09-15
今から30年ほど前の夏、東北地方を一人気ままにドライブをしていた。新潟県から山形県へ、さらに奥羽山脈を横切って宮城県に出て、そこから南下して関東へ向かう旅であった。福島県に入って、のどかな田園地帯を何時間か運転していると、こんもりとした林の向こう側に大きな工場が見えた。その工場へ向かう側道の標識には「福島原子力発電所」とあった。福島原子力発電所からおよそ200メートルの距離にある道路を通りすぎたのである。
そのときの印象は、「大きな木に囲まれた地味な建物」であった。もちろん、そのときは、30年後に大事故が起こり、この地域一帯に住んでいた人々が避難せざるを得なくなるほど放射能に汚染されるなど想像もできなかった。よく考えてみれば、こんな狭い日本に50基以上の原子炉があるので、原子力関連の事故があれば、今後も、多くの人々が避難せざるをえない事態になることは十分にあり得る。
生活の快適化と節電の両立は難しいようだ。今年の夏は例年になく厳しい、連日の30度を超す温度計を見るとうんざりしてしまう。エネルギーは無限ではないということは分かっているのだが、やはり、暑い日はエアコンを使いたいし、汗ばんだ日は、シャワーも浴びたい。そんな中で節電と快適な生活の両立はどうしたら可能になるだろうか。やはり、代替エネルギーの発見しかないだろう。人類が全力投球でこの問題に取り組むべきと考える。福島のあの美しい自然を思い起こしながら、早くあの地帯に平穏な日々が戻ることを祈るのみである。