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子どもに英語の音を聞かせて「繰り返してごらん」と言っても、あまりのらないだろう。そのようなときは、音遊びをすることがよい。音遊びとの一つとして、韻を踏むことの面白さを教えることがいい。
音を聞いて見つけてみよう!仲間はずれはどれかな?
dog/fog/cook
bin/tin/win/can
park/turn/dark/mark
boy/soy/toy/day/joy
mop/drop/cup/crop/stop
この様な問いかけを通して子どもは英語の音の類似性に関心を持つようになると思う。当然、知らない単語がかなりあるが、この音とこの音は何か似ているな、という間隔がつかめればいいのだろう。日本語では、しりとり遊びがある。また「しゃれ」を使っての言葉遊びがある。英語でも、そのようなゲームや遊びを重ねることで、英語の音に関する鋭い感覚が養われる。そしてそれは英詩の理解や、子供用の童謡の理解にもつながる。
英語でも、音声に関する興味を脚韻から入ってゆくことも面白い。絵本なども韻文がいくつかある。それらは脚韻が踏んであるのが普通だ。アリスの不思議な冒険では、次のような言葉が出てくる。
‘How doth the little crocodile
Improve his shining tail,
And pour the waters of the Nile
On every golden scale!
‘How cheerfully he seems to grin,
How neatly spread his claws,
And welcome little fishes in
With gently smiling jaws!’
とくに内容のある文ではないが、言葉遊びの上からは楽しい。この小説が書かれた頃は(1865年)は、物語とは読むものではなくて、語るもの、そこにはナンセンスな言葉ではあるが、要は言葉は楽しく、耳で心地よい文が好まれたようだ。この文は1行目と3行目、2行目と4行目に韻が踏んである。
子どもたちがよく歌うきらきら星の歌も韻がたくさん踏んである。
Twinkle, twinkle, little star,
How I wonder what you are!
Up above the world so high,
Like a diamond in the sky!
When the blazing sun is gone,
When he nothing shines upon,
Then you show your little light,
Twinkle, twinkle, all the night.
Then the traveller in the dark,
Thanks you for your tiny spark,
He could not see which way to go,
If you did not twinkle so.
In the dark blue sky you keep,
And often through my curtains peep,
For you never shut your eye,
Till the sun is in the sky.
As your bright and tiny spark,
Lights the traveller in the dark,
Though I know not what you are,
Twinkle, twinkle,little star.
以下は、Twinkle, twinkle, little star の歌詞である。各連とも1行目と2行目、3行目と4行目は脚韻が踏んである。これらの詩を聴く経験を通して、詩の美しさには内容だけでなくて、形式も完成するという意識が生まれてくる。
ところで、私自身が聴いてみたのでは、自分には各行の脚韻を意識できるほどの英語の語感はない。これは小さいときから、nursery rhyme に数多く親しんでいる英米人の子どもならば、無意識的でも、意識的にも脚韻のもたらすリズム感を聞き取って心地よく感じるのである。日本人の子どもでも、冒頭に示したようなゲームを重なることで、ある程度は rhyme に慣れるようになり、将来、歌や詩を鑑賞するときに役立つだろうと思われる。