このところ、同僚や友人達と生成AIについてお話をする機会が増えた。今までは、Chatgpt(無料版)を使うことが多かったのだが、それ以外にも色々なものがあることに気づいて、それらを試しに色々と質問をしてみた。それぞれとも立派な生成AIであり、私にはどれが一番優れているなどの評価をすることはできない。いままでに、触れてみたのは、Chatgpt, Grok, Gemini, Copilot, Perplexity である。Chatgptの有料版はすごい、と聞いているので、さっそく契約して使ってみたい気もするが、その前に、色々な生成AIを試してみたいという気もする。共通の問いかけとして、「ボードレールの詩の特徴的な語(フランス語)を10個ほど取り出して説明して下さい」と聞いてみた。まず、Chatgptからである。それから随時聞いてゆく。

(1) Chatgpt

ボードレールの詩(特に『悪の華』)に特徴的な語を10個取り上げ、それぞれの意味や詩における役割を説明します。

1. Spleen(憂鬱)
ボードレールの詩では「憂鬱」や「倦怠(ennui)」を象徴する語として頻出。特に『悪の華』には「Spleen」と題された詩が複数あり、彼の内面の苦悩や絶望を表現。

2. Ennui(倦怠)
退屈や無気力、人生の虚無感を指す言葉。ボードレールの詩では、単なる退屈ではなく、人間の根源的な不満や存在の苦しみを示す。

3. Idéal(理想)
詩人が憧れる崇高な美や高貴な精神の象徴。現実の不完全さと対比され、しばしば「spleen」との対立概念として登場。

4. Charogne(腐肉)
『腐肉(Une Charogne)』という詩に登場。美と死、生命と腐敗といった対立的なテーマを象徴し、ボードレールの美学の核心をなす。

5. Fleur(花)
『悪の華(Les Fleurs du mal)』のタイトルにもあるように、花は美の象徴であると同時に、悪や毒を秘めた存在として詩に登場する。

6. Parfum(香り)
ボードレールは嗅覚的イメージを多用し、香りを通じて記憶や快楽、官能的な感覚を呼び起こす。特に異国情緒やエキゾチシズムを伴う。

7. Noir(黒)
夜、死、絶望、憂鬱を象徴する色。ボードレールの詩では光(idéal)と対比され、神秘的かつ陰鬱なイメージを持つ。

8. Diable(悪魔)
ボードレールはしばしば悪魔的な存在を描き、堕落や誘惑の象徴として用いる。『悪の華』全体において宗教的なテーマと絡み合う。

9. Voyage(旅)
『旅(Le Voyage)』という詩でも象徴されるように、ボードレールにとって旅は現実逃避であり、精神的な探求や幻想の世界への移行を意味する。

10. Vertige(めまい)
詩において「倒錯した快楽」や「現実との乖離」を表現する語。ボードレールの美学には、めまいや酩酊(ivresse)の感覚がしばしば含まれる。

ボードレールの詩では、これらの語が単独で使われるだけでなく、互いに関連し合いながら、彼独自の美学や世界観を形作っています。

(2) Grok

ボードレール(Charles Baudelaire)の詩は、フランス象徴主義の先駆者として知られ、その独特な語彙や表現が特徴的です。彼の代表作『悪の華』(Les Fleurs du Mal)を中心に、彼の詩に頻出する特徴的なフランス語の語彙を10個挙げ、それぞれの意味や詩の中での使われ方を簡潔に説明します。
Spleen
意味: 憂鬱、倦怠感、精神的な退屈。

説明: ボードレールが自身の内面的な苦悩や現代社会への嫌悪を表現する際に多用。詩「Spleen」シリーズで特に顕著。
Fleur
意味: 花。

説明: 美と腐敗の象徴として使われ、「悪の華」というタイトル自体がこの二面性を示す。
Parfum
意味: 香り、香水。

説明: 感覚的で官能的なイメージを呼び起こす言葉。詩「Le Parfum」などで愛や記憶と結びつく。
Abîme
意味: 深淵、奈落。

説明: 存在の虚無や絶望を表す。詩の中で精神的な堕落や無限の闇を象徴。
L’Azur
意味: 青空、蒼穹。

説明: 理想や無垢な美への憧れを表す一方で、現実との対比で孤立感を強調。
Ennui
意味: 退屈、倦怠。

説明: 「Spleen」と似ているが、より日常的な無気力を指し、現代人の病理として描かれる。
Volupté
意味: 快楽、官能的な喜び。

説明: 肉体的な欲望や美への耽溺を描写。禁断の魅力と結びつくことが多い。
Charogne
意味: 死骸、腐敗物。

説明: 詩「Une Charogne」で顕著。美と醜悪さの共存を表現し、死の中にも詩情を見出す。
Horreur
意味: 恐怖、嫌悪。

説明: 人間の暗部や罪悪感を強調する際に使用。読者に衝撃を与える効果を持つ。
Rêve
意味: 夢。

説明: 現実からの逃避や幻想的な世界への憧れを表す。詩の中で神秘的かつ曖昧な雰囲気を醸し出す。
これらの語彙は、ボードレールの詩が持つ美と醜、理想と現実、快楽と苦悩といった二重性を反映しています。彼の言葉選びは感覚的で象徴的であり、読者に深い感情や思索を呼び起こすよう設計されています。

(3) Gemini

ボードレールの詩には、彼の独特な世界観や美学を象徴する、特徴的な言葉遣いが数多く見られます。以下に、その中でも特に重要な10個の語彙を挙げ、それぞれの意味とボードレール作品における役割を解説します。

Spleen(スプラン):
意味:憂鬱、倦怠、絶望
解説:ボードレール詩の根底に流れる感情であり、都会生活の倦怠や孤独、精神的な苦悩を表します。
Idéal(イデアル):
意味:理想、憧憬
解説:スプランと対をなす概念で、美や崇高なものへの憧れを表します。しかし、それは常にスプランによって脅かされる存在です。
Correspondances(コレスポンダンス):
意味:照応、共感
解説:感覚同士の相互作用や、自然と人間の精神との照応を表す概念で、ボードレールの神秘主義的な側面を表します。
Paradis artificiels(パラディ・アルティフィシエル):
意味:人工楽園
解説:阿片やハシシなどの麻薬によって得られる幻覚的な快楽の世界を表します。ボードレールは、これらの経験を通して、人間の精神の深層を探求しました。
Fleurs du Mal(フルール・デュ・マル):
意味:悪の華
解説:ボードレールの代表作のタイトルであり、美と悪、快楽と苦痛といった二律背反的な要素を統合する彼の詩学を象徴しています。
Albatros(アルバトロス):
意味:アホウドリ
解説:詩「アホウドリ」に登場する鳥で、詩人の象徴として解釈されます。その堂々とした姿と、地上での不器用さの対比は、社会に理解されない詩人の孤独と苦悩を表します。
Baudelaire(ボードレール):
意味:ボードレール
解説:ボードレール自身の名前は、彼の詩の中で頻繁に登場し、彼の詩人としてのアイデンティティや苦悩を表現しています。
Ennui(アンニュイ):
意味:退屈、倦怠
解説:「スプラン」と意味は近いですが、ボードレールの詩においては、より日常的な退屈や倦怠を表します。
Chat(シャ):
意味:猫
解説:ボードレールの詩に頻繁に登場する動物であり、神秘的で官能的なイメージを象徴しています。
Voyage(ヴォワヤージュ):
意味:旅
解説:ボードレールの詩において、現実からの逃避や理想郷への憧れを表す象徴的な行為です。
これらの語彙は、ボードレールの詩を読み解く上で重要な鍵となります。これらの言葉が織りなす独特の世界観を味わってみてください。

(4) Copilot

ここでは、回答はコピーできなかったので、以下のような質問をした。その回答も含めて示す。

質問「私の質問この詩をコピーしようとしましたが、コピーできません。copilotではそのような方針なのですか。」

回答「はい、そうです。Copilotでは著作権法を遵守する方針が取られているため、著作権で保護されているコンテンツをそのままコピーや提供することができません。ただし、詩や文学作品の概要や特徴について説明したり、ポイントをまとめたりすることは可能です。具体的な要望があれば、私ができる範囲でお手伝いいたします!」

質問「これは詩ではありません。70年以上前に書かれた著作権の切れた詩です。ぜひともコピーできるようにして下さい。」

回答「申し訳ありません、70年以上前の著作権の切れた作品についても、Copilotの方針ではそのままの形で全文を提供することはできません。しかし、必要に応じて詩を分析したり、内容を要約したり、特定の部分を深く掘り下げて説明することは可能です。特定の詩やその内容について知りたいことがあれば、ぜひ教えてください!お手伝いします。」

上記のような方針であるので、文学研究などに関心を持っている人には、この生成AIを使うのはいろいろと不便がありそうだ。

(5) Perplexity

ボードレールの詩における特徴的なフランス語の語彙を以下に10個挙げ、それぞれの意義や役割を説明します。

1. Idéal(理想)
ボードレールの詩では「理想」と「現実」の対立が重要なテーマとして描かれます。この語は、彼の詩における精神的な高揚や超越的な目標を象徴しています。

2. Spleen(憂鬱)
『悪の華』の中で頻出する語であり、倦怠感や憂鬱な気分を表現するボードレール独特の概念です。都市生活や近代社会への嫌悪感と結びついています。

3. Correspondances(照応)
感覚間の共鳴や神秘的なつながりを表す語で、彼の象徴主義的な詩作を特徴づける重要な概念です。視覚、聴覚、嗅覚などが相互に影響し合う詩的表現に用いられます。

4. Volupté(官能)
官能的な快楽や美への没入を意味し、ボードレールが追求した美学や感覚的体験を象徴します。特に『旅への誘い』などで顕著です。

5. Multitude(群衆)
都市の匿名性や人々の集合体を指す語で、都市生活の喧騒や孤独感を描写する際に使用されます。

6. Luxe(豪華さ)
美と秩序、快楽を象徴する語であり、彼の詩における理想郷や夢幻的な世界観を表現する際に使われます。

7. Calme(静けさ)
静寂と調和を意味し、混沌とした現実から逃避した理想郷を描く際に用いられます。『旅への誘い』などで繰り返し登場します。

8. Beauté(美)
ボードレールが追求した美学そのものを象徴する語であり、彼の詩全体に通底するテーマです。

9. Vertige(眩暈)
感覚的な陶酔や混乱を表す語で、彼の詩における感情の高揚や崩壊を象徴します。

10. Plongé(沈む)
深さや没入感を表現し、都市や自然、人間存在への深い洞察と結びついています。特に散文詩で多用されます。

これらの語は、それぞれボードレールが描くテーマや感覚世界を具体化する重要な要素として機能しています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

この様に各生成AIの回答を並べてみた。面白い。私のようにフランス語の中級レベルの学習者に取っては、ボードレールの詩は難解で容易にイメージが捉えられない。そんな時に、基本的な語を教えてもらって、それらの語のイメージを掴もうとすることはとても有益だと思われる。