学習スタイル

学習スタイルとは、学習するときに、学習者が好んで用いる認知活動や学習活動の様式ならびに方法である。それは、言い換えれば、学習をする場面において、学習する環境をどのように認識して、それとどのように関係して、どのように反応するかという一人一人の学習者の癖・スタイルである。

学習スタイル(認知スタイル)には、いくつかの視点がある。まず、場独立(field independence)か場依存(field dependence)かという学習スタイルがある。場独立スタイルの人は、情報を構成要素に分類して分析し、1人で問題解決に取り組むことを好む。一方、場依存スタイルの人は、情報を包括的に捉え、グループ活動を好む。
言語学習との関連で考えれば、場独立スタイルの学習者は言語項目の分析と系統的整理を好むため、文法を意識する学習を好み、筆記試験でも得点は高い。一方、場依存スタイルの学習者は、対人関係が得意でコミュニケ一シヨンのための言語使用を好む。教員としては、学習者がどちらの学習スタイルを好むのか見極める必要がある。

次に、よく取り上げられる視点は、視覚型(visual)、聴覚型(auditory)、体験型(kinesthetic modalities)かという分類である。視覚型の学習者は本、黒板、映像教材を用いて、文字や図表などの視覚情報を介して学習する傾向にある。また、聴覚型学習者は、内容を耳で聞いたり、クラスメイトとディスカッシヨンをしたりするなどのように、口頭による学習を好む傾向にある。体験型学習者は、実物教材を使用したり、プロジェクト学習などのように身体を動かして体験する学習を好む。

これらの分類だが、その学習者がある特定の学習スタイルに100%該当するというわけではない。そのような傾向が見られるということであり、年齢とともに、また状況に応じて変わりうるものだ。要はバランスが取れた学習スタイルを教員は提供すべきということだ。

場独立•場依存の学習スタイルを考慮すれば、文法指導だけでなく、コミュニケーション活動もバランス良く取り入れる必要がある。また、グループで情報を交換したり話し合ったりした後に、個人で分かったことをまとめる時間を与えるなど、両者を考慮した学習形態を取り入れるとよい。

感覚や性向を考慮した場合は、視覚的情報を好む「視覚型」学習者のためには、説明の際には文字や絵、図、実物などを利用したり、耳からの情報を好む「聴覚型」の学習者のためには、口頭やCDなどの音声情報を与えることが望ましい。体を動かしたり触れるものを使用することを好む「体験型」学習者のためには、立ち上がって教室内を移 動しながら情報を探す活動などがよい。このように、異なる優先感覚を持つ学習者 に配慮して様々な言語活動をバランスよく配分したい。

参考 JACET教育問題研究会『英語科教育の基礎と実践』三修社