英語の授業でもっとも大切なこと
英語の授業は正直言って、学習者が強い動機付けさえ持っていれば、どのような授業であっても、成果を上げる。英語の授業とは、内容よりも、むしろ学習者の動機付けをどのように保持するか。そのことの方が、遙かに大切である。つまり、英語の授業とは、学習者のやる気を引き起こし、その気をできるだけ高めることが一番大切であると言えよう。

動機付けの分類
動機付けについては、統合的動機付けと道具的動機付けの二つが大きな動機付けとして有名である。どちらが語学学習に効果的であるか数多くの議論がなされてきた。

例えば、「受験」は,学習者にとって確かに強い動機付けを与えるが、目標の学 校に入学してしまうと、途端に学習の意義を見失うことがある。このような進路のためとか、ある特定の目的のために学習するのは道具的動機付け(instrumental motivation)である。一方、例えば、アメリカ文化にあこがれて、その文化に浸りたい、できれば、アメリカ社会の中で暮らして、同化したい願って学 習するのが、統合的動機付け(integrative motivation)である。道具的動機付けの問題点として、大学に合格するために、英語を勉強したとしても、目標の大学に入学してしまうと、英語の勉強を止めてしまう場合がある。それゆえに、動機付けとして非常に不安定である。

従来は、統合的動機付けの方がより効果があるとされてきたが、現在ではやはりそれは個々のケースによって異なると考えられている。テストでよい成績をおさめるために勉強するのは、道具的動機付けであるが、それをきっかけとして、英語圏の文化に興味を持つようになることがある(統合的動機付け)。これは動機付けが時間につれて、変化したことを意味する。

オリエンテーション
上記の総合的動機付けと道具的動機付けという2分法であるが、動機付けよりも、志向や態度を示す概念として、オリエンテーションという言葉が使われることもある。すなわち、統合的オリエンテーション(integrative orientation)と道具的オリエンテーション(instrumental orientation)である(Gardner & McIntyre 1991, “An Instrumental motivation in language study: who says it isn’t effective?” in Studies in Second Language Acquisition 13/1. 57-72.)。