他律学習

子どもの学習を主に他者(例えば、親)からの原因で行わせる。子どもに言うことをきかせようとするとき、体罰を与えるとか、食事を減らすなどして、不快状態(動因)を作り出し、そして、子どもに命令を下して、言うことを聞いたら不快状態(動因)を取り除いてやるというやりかたがなされることが多い。
 親の中にも、学校や塾で教員が厳しくないと子どもが勉強しないと考える人が少なくない。家庭の中で、子どもが特定の親から承認された行動を行ったときだけ愛情を注ぐというとつながる。しかし、このようにして動機づけられた子どもは、自分の意志で行動するようになるわけではないばかりか、人との信頼関係を結ぶことができないことになる。
 そして、他律学習をする子どもは、人の良いところを目の当たりにしたり、人に負けたり追い越されたりした場合に、「まあ、いいか」とか「そういうの苦手」とか「できないのも、自分の個性だ」といって、開き直ったり、妬んだりする。
 また、他律学習をする子どもは、自分の衝動を抑える力に乏しく、あまり考えずに行動し、慣習やルールにはいやいや従う。

他律学習

自立学習は学習の枠組みを子どもに与え、自助努力を奨励する。ただ、自立学習の枠組みに適応できなければ、自分の興味や関心を押し殺して、他人の指示に従うままに学習する。これを、形式的自立学習、あるいは他律学習と呼ぶことができる。

自律学習(実質的自立学習)

優秀な学業成績を収める子どもは、形式的自立学習の枠組みの中にあっても、自分の興味・関心を失うことはない。もっと知ろう、もっとできるようになろう、と思って学習する。これを、実質的自立学習、あるいは自律学習と呼ぶことができる。
 他律学習をする子どもは、ただ目の前にある課題に振り回されるのに対して、自律学習をする子どもは、自分の興味・関心や、弱点に焦点を当てて学習する。自律学習をする子どもは、自分の衝動をコントロールでき、良く考えてから行動し、慣習やルールを自分のものとして行動する。

自立学習と他律学習

 他律学習をする子どもは、できない課題があっても計画通り、表面的に学習を進めるのに対して、自律学習をする子どもは、弱点にはたっぷり時間をかけて克服したり、不勉強なところは自ら遡って学習したりする。

他律学習をする子どもは、アメとムチによって学習を動機づけられるのに対して、自律学習をする子どもは、自分の興味・関心を持って(もっと知ろう、もっとできるようになろうと思って)学習し、自分の行動(作為・不作為)の成功や失敗は自分の責任だと考える。

他律学習をする子どもは、成功モデルを真似するように叱咤・激励されるのに対して、自律学習をする子どもは、他人と自分とを比較することはない。

(自律と他律に関する学生のレポートに若干手を入れて掲示する)