新しい単語を教える方法にはいろいろとあるだろう。ここでは、3つほど考えてみたい。

(1)フラッシュカード(flash card) を用いる方法
この方法は、意味と綴りを繰り返し確認するために、学習者は瞬時に認識できる語彙を増やすことになる。フラッシュカードを用いた活動は、初級学習者から活用できるが、学習者のレベル、単語の習熟度、 品詞に応じて工夫する必要がある。

小学生や中学初学年では表の面に英単語を書き、裏の面はその内容を表わす絵やイラストを書くカードが有効だ。ただ、それらは具体的な事象を示す語意ばかりになる。リンゴの絵とappleという単語の結びつきは有効だ。中学校の進んでからは、覚える単語も抽象的な語が増えるであろうから、表面には英語を裏面には日本語訳を記す方法が有効になっていく。いずれにせよ、学年が上がるにつれて絵やイラストは不要になり、裏面に日本語訳ばかりになる。そして、最終段階では、表の面に簡単な英語による定義を書いておくといい。それを見せながら、裏の面の語彙をあてさせる方法も可能だろう。

(2)カタカナ英語の活用
日本語にあるカタカナ英語を活用することは、たとえ意味が部分的にしか重ならない場合でも、英語学習に役立つ。指導にカタカナ英語を活用する際には、英語の原義との違いをしっかりと教えておく必要がある。

カタカナ英語には、発音や強勢の位置が日本語とは異なるもの(例えば、banana, vitamin, strike, guitarなど)、意味自体が日本語とは異なるもの(例えば、handleとハンドル、mansionとマンションなど)、日本式英語であるもの(例えば、ガソリンスタンド gas station、バックミラー rear-view mirror)などがある。

あるいは、子どもたちに発見学習として「町で外来語を見つけましょう」と宿題を出すのもよい。お店の名前や商品の名前などに使われる英語を探させるもの面白い。エレベーター、エスカレーター、スタッフ募集、クルー募集、インタビューなど町で見かける掲示にはたくさんの英語が使われている。それらを集めさせて、教室の中で、グループで意味を考える活動は有意義であろう。

(3)接頭辞や接尾辞の活用
ある程度の語彙力を備えている学習者には、語構成の知識を与えることは有効である。特にあまり頻度数が多くない語を教えるときは、語構成を活用し推測させる練習をするといい。例えば、re- (再び)という意味の接尾辞を教えるとよい。そこからreaction, recall, recycle, refresh などの単語をまとめて教えると、語彙どうしが有機的につながってゆく。-ment (名詞化する接尾辞)を教えると、appointment, department, improvement などがまとめて覚えられる。

接辞(接頭辞と接尾辞)を覚えると、次は語根を覚える方法へとつながる。この方法は、かなり知的関心が高くなってゆく高校生以降に教えると有効である。丸い(circle)を覚えることで、cycle, recycle, circus, bicycle などの単語をまとめて覚えられる。