ピグマリオン効果、ハロー効果、ホーソン効果
ビグマリオン効果(Pygmalion effect)
生徒の表情や言動から、教員が無意識的に「この子はかなり勉強が できるだろう」などの期待感を持つことがある。生徒はこの教員の期待感に左右されることがあり、これをピグマリオン効果(Pygmalion effect)と呼ぶ。
ピグマリオンという名称は、ギリシャ神話を収録した古代ローマのオウィディウス『変身物語』に由来する。第10巻に登場するピグマリオン王の恋焦がれた女性の彫像が、その願いに応えたアプロディテ神の力で人間化したと言う伝説に由来する。
この効果は、期待する生徒に対しては、授業でより多く指名し、声をかけたり、課題を出したりと、教員自身では気づかないうちに、その生徒により多くの学習の機会を与えたり、動機付けを高めていることによると考えられる。生徒と接する際に、何らかの印象を無意識的に持ってしまうのだが、教員が常にそれを意識しておくことが必要だ。生徒に対して先入観や思いこみによって、学習者の学習成績に影響を与えないようにしなければならない。
否定的な期待感による負の効果もある。それはゴレム効果という。ビグマリオン効 果をさらに下位分類すると、肯定的な期待感が実現することをガラティア 効果(Galatea effect)、否定的な期待感が実現することをゴレム効果 (Golem effect)という。
ハロー効果(Halo effect)
ある対象を評価をする時に、ある顕著な特徴に引きずられて、他の特徴についての評価が歪められる(バイアス)現象を示す。後光効果、光背効果、ハローエラー(halo error)とも言う。例えば、ある分野の専門家が専門外のことについても知識があると感じてしまうことや、姿形のいい人が信頼できると感じてしまうことが挙げられる。このハロー効果は、良い印象から肯定的な方向にも、悪い印象から否定的な方向にも働くのである。
英語教育では、教員は、英語の成績から学習者のすべてを判断しがちである。英語の成績がよい生徒は、他の科目の成績も良いはずだ、少なくともその可能性はあると考える。たとえば、国語のテストの点数が悪くても、「英語の成績がいいのだから、国語だってできるはずだ」と励ましたりする。
ハロー効果とは、ある特定のことがらに関する認知が形成されると、それがすべてにおいて一般的な背景となり、その 人物やことがらに関連する特性が、その枠組みの中で認知されてしまう。 このような 認知の歪みがあることを、教員自身が知って、学習者に対しては、常 に客観的に、そして多角的に見るようにするべきである。
ホーソン効果(Hawthorne effect)
ホーソン効果は、米国のホーソン工場で、労働者の作業効率の向上を目指すための調査から発見された現象であるため、この名がある(ホーソン実験)。調査は工場の何を改善すれば一番効果的かを調査の目的とした。照明や、賃金、休憩時間、軽食、部屋の温度・湿度など条件を変えながら、その能率を調べた。その結果、労働者への周囲や上司が関心を高めることが、物理的要因以上に効果のあることが判明した。つまり、自分たちは調査の対象であるという意識が能率を高めるのに効果があったのである。このように、人は一般的に関心を持つ人や期待する人の心に応えようとする傾向があるとされる。(Wikipediaより)