英語科教育法 (ある時代の授業の1回目のための備忘録)

一回目の授業は大切である。学生にとっては一番印象が強いはずであり、この授業を選択するかしないかを決める判断に関与する。1回目の授業では教科書を購入していない人も多いので、教科書がなくても理解できるような授業を心がける。

授業の段取りは次のような順番だ。
(1)自分自身の紹介をする。高校で英語教員をして、それからいくつかの大学で英語を教えてきた話をする。自分の昔の時代は、英米文学偏重であったが、次第にコミュニケーション重視、実用英語重視へと変わっていった時代変遷を述べる。英語教育は変わってゆく。今後さらに変わってゆくとしたら、それは電子機器のめざましい発達であろう。SNS, YouTube, Blog などの利用が頻繁になる。また、辞書や翻訳サービスが利用しやすくある。これから英語教員を目指す人は、技術革新に対して柔軟に対応できる人が必要になる。そんな話をしたい。(2024年現在では、ソフト、ハードとも長足の進歩を見せている、Chatgpt, 翻訳ソフト、Netflix, YouTube, iPhone, iPad 等を自由にこなせる学生が出てきている)。

(2)免許状とこの科目の話をする。英語の教員免許状を取得しようとする人はこの授業を受けるのだ。一般に英語の教員免状を取ろうとするならば、教職に関する科目、教科に関する科目、教科又は教職に関する科目、免許法施行規則第66条の6に定める科目がある。その他に、中学の免許状ならば、介護体験も必要になってくる。英語科教育法のIとⅡは教職に関する科目として中学の場合でも、高校の場合でも必要である。つまり、英語教員になるためには、この科目は絶対に取得しなければならない。なお、学生便覧を持っている学生がいたら、それを見るように指示する。

(3)現時点での文科省や中央教育審議会の動きを説明する。近年公示された新学習指導要領を初めに説明をしていく。そして、文科省が近年影響を受けているCEFR, Can-Do Statement について軽く言及しておきたい。時間があれば、英語が使える日本人育成のための行動計画、セルハイ(Super English Language High School = SELHi)、国際共通語としての英語力向上のための5つの提言と具体的政策、グローバル人材育成戦略等を紹介する。(これらの事例も古くなっている。しかし、次から次と新しい事柄が生まれるので追いつくことが大変である)

(4)学生がこれから何を学習するか展望をあたえるために、J-POSTL: 自己評価記述文を示すのは有益である。