観点別評価について

曰本の中学校や高校で生徒を評価するには、学習指導要領に基づいて行わなければならない。教員は、生徒の学習の様子、宿題の出来ばえ、定期考査の結果などを基本にして、生徒を評価してゆく。そして、その結果を評定として通知表に記載する。以前は通知表については、5段階の評定が一般的であった。しかし、5段階での評価は知識の理解の評価に偏重しているという批判があった。
そのために、1987年の教育課程審議会の答申を受けて、評価の方法が変わったのである。
1987年の教育課程審議会で、学習指導要領改定の中で、「日常の学習指導の過程における評価については、知識理解面の評価に偏ることなく、児童生徒の興味・関心等の側面を一層重視し、学習意欲の向上に役立つようにするとともに、これを指導方法の改善に生かすようにする必要がある」との答申が発表された。また指導要録における各教科の評価についても、「教育課程の基準の改善のねらいを達成することや各教科のねらいがより一層生かされるようにする観点から、教科の特性に応じた評価方法等を取り入れるなどの改善を行う必要がある」と、指導要録の様式を改める旨の考えが示された。これを受け、文部省は指導要録の参考様式を提示した。この参考様式の中で各教科それぞれに4〜5つの観点が定められ、絶対評価による3段階の評価を行うこととされた。(Wikepedia「観点的学習指導状況」から)
その結果、多くの教科は「関心・意欲・態度」「思考・判断」「技能・表現」「知識・理解」という4つの観点に分けられて、教員はそれぞれの観点別に目標を設定し、学習者がその目標に対してどれだけ実現できたかを判断して、3段階に評価することになった。
3段階の評価とは、「十分満足と判断されるもの」には、Aまたは◎などが付けられて、「おおむね満足であると判断されるもの」には、Bまたは、○が付けられて、「努力を要すると判断されるもの」には、Cまたは△で評価することになった。なお、現行では4つの視点であり、それは「コミュニケ一ションへの関心・意欲・態度」、「外国語表現の能力」、「外国語理解の能力」、 「言語・文化についての知識・理解」である。英語科の観点別評価は、新しい学習指導要領では、3っの観点、 「知能・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」になったが、ここでは、ここでは、現行(2018年現在)の評価方法について述べてゆく。

「コミュニケーションへの関心・意欲・態度」の評価

英語によるコミュニケ一ション活動に関心を持ち、積極的に活動に参 加して、相手とインタラクションをしようとする態度が評価の対象となる。この態度は、テストでは測りにくいので、授業中に観察しながら評価することになる。例えば、学習者の授業態度や言語活動への参加の姿勢、出席簿などを見て、生徒児童の関心・意欲・態度をきちんと記録しておく必要がある。
コミュニケーションは個人で行うのではなくて、ペアやグループで行うことが多い。この場合は個人の評価をどのようにして行うか難しい面がある。

「理解の能力」の評価

受容能力(リスニングとリ一デイングの能力)が評価の対象となる。それは、中学校や高校の教科書に出てくる言語材料の理解の程度を授業中の活動やペーパ一テストを通して評価することである。授業中に行う場合は、口頭によるQ & AやTrue or Falseの設問を使うことで評価できる。
定期試験の場合は、教科書で学んだ英文を試験問題としてそのまま出題することが多い。一番簡単な出題方法は、ある文の和訳を答えさせることになる。これを多用すると、生徒は日本語訳を覚えてテストに臨むことになる。それを防ぐために下線部の文に対する意味を問うばあいは、3種類ほどの答えを用意して、意味が近いものを答えさせる方法をつかることが出来る。

「表現の能力」の評価

コミュニ力テイブな力を評価するためには、ペーパーテストだけでは不十分であり、学習者の実際的な言語運用力を評価することが必要である。例えば、教科書で外国の文化について扱っているユニットでは、 その国の文化について英語で紹介できるか、その国と日本との違いや共通性を比較対照して英語で述べることができるか、教科書の記述の概要を英語でまとめられるか、などの観点で評価するといい。
評価の時期と方法は、1つのユニットの終了時や定期試験に合わせて行う方法と授業中の活動時に行う方法がある。前者では、1人ずつ面接(インタビュー)をしたり、 スピーチを課したり、ペアやグループで発表させたりすることで評価できる。評価の基準についてはあまり細かく作成すると判断が難しくなるので、普通にできた(2点)、何とか受け入れられる(1点)、通じない(0点) 程度でよい。
授業の活動時に実施しやすい方法としては、 教室で行う質疑応答に積極的に手を挙げて、自分の意図を伝えようとする生徒や適切に答えた生徒を記録しておいて、出席簿などに書き込んでおくという方法がある。なお、授業中に手をあげることを評価すると生徒達に前もって述べておくか、それは伏せておくかについては、どちらが有効と判断するかは教員の考えによる。

「言語・文化についての知識・理解」の評価

言語については音声、文法、語彙などの知識・理解であり、文化については、主に日常生活や風俗習慣、ものの見方・考え方の違いや、異文化間の接触、交流に関する知識・理解が評価の対象となる。言語やその運用についての評価は、基本的な知識を身に付けていることと、適切に使えることが評価の観点になる。筆記試験などで評価することが出来る。
文化については、教科書で扱われた知識を十分に理解しているかがポイントになる。生徒をインタビューしたり、英作文を課したりして評価することが出来る。