中学校の学習指導要領はどのように説明をしているか

中学校の学習指導要領(2008年)では、書き方の指導として以下のように述べている。

(ア) 文字や符号を識別し,語と語の区切りなどに注意して正しく書くこと。
(イ) 語と語のつながりなどに注意して正しく文を書くこと。
(ウ) 聞いたり読んだりしたことについてメモをとったり,感想,賛否やその理由を書いたりなどすること。
(エ) 身近な場面における出来事や体験したことなどについて、自分の考えや気持ちなどを書くこと。
(オ) 自分の考えや気持ちなどが読み手に正しく伝わるように,文と文のつながりなどに注意して文章を書くこと。

2017年告示の学習指導要領では、書き方の指導は以下のようになっている。

(ア) 趣味や好き嫌いなど,自分に関する基本的な情報を語句や文で書く活動。
(イ) 簡単な手紙や電子メールの形で自分の近況などを伝える活動。
(ウ) 日常的な話題について,簡単な語句や文を用いて,出来事などを説明するまとまりのある文章を書く活動。
(エ) 社会的な話題に関して聞いたり読んだりしたことから把握した内容に基づき,自分の考えや気持ち,その理由などを書く活動。
両者を比較すると、2008年版では、「文字や符号を識別いて、語と語の区切りになどに注意して」とか「語と語のつながりなどに注意して」のように、文構造、語法の知識の必要性、語順の重要性などが強調されている。また「文と文のつながりなどに注意して」のように一貫性のある文章を書くことの必要性が指摘されている。語法的な指導にある程度は重きを置いている。
2017年の学習指導要領では、「~の活動」のような表現になっていること。文法などの正確さを要求するような表現が消えていること、などが注目に値する。ここでは、書くときの生徒の意識や話題を中心に触れられている。

現代の問題点

従来型の英作文の指導はたしかに難しくなってきている。黒板に日本文を書いてこれを英文に直しなさい、というような課題の与え方ならば、従来は生徒は辞書を引き引き自分なりの英文を書き上げてきた。それを添削するというのが教員の役割であった。しかし、最近はネットの翻訳機能を利用することが増えてきて、スマホでGoogle翻訳に日本文を入れて、その翻訳の英文を黒板に書くことも増えた。ほとんど間違いのないような英文が黒板に書かれるのだ。従来型の丹念に英文を添削して生徒たちの英語能力を高めるという方法は使いづらくなってきている。現代ではスマホを使うのだということを事実として受け止めて指導していく方法しかないであろう。すると、自由英作文が指導の中心になっていく。
ライティングとは次第に自由英作文がイメージされつつある。しかし、中学生が自分の持っている語彙力で彼らの知的満足に答えるだけの作文をすることは難しい。少なくとも、中学生としてもある程度のレベル以上の生徒を対象にすることになる。

現代のライディング指導法の種類

フリーライティング:質よりも量を強調する指導法であり、中級レベル以上の生徒に適している。ここでは、文法構造や語のスペルなどは気にせずに内容と流暢さを優先して書く。いったん考えを紙の上に書かせた後に、文法的正確さ・構成・他の要素を考慮させる方法もある。さらに流暢さを追求するために、あるテーマについて5分または10分間ほど集中して、文法とスペルを一切気にしないで書く場合もある。この方法ならば、回を重ねて練習するうちに、生徒は書くことに対しての抵抗がなくなってくる。教員は生徒の作文の訂正を行わずに、生徒が述べた考えについてコメントをつける。
パラグラフ・パターンを真似る:この指導法は生徒にパラグラフを書き写させ、模範のパラグラフの形を分析させ、模範の文章のかたちを模倣させる。その際は、トピックセンテンスや支持文の関係も説明する。あるいは、バラバラの文をパラグラフの順序に並べさせ、適切なトッピックセンテンスを選択または生み出させるのも有効である。高校生ぐらいから有効な方法であるが、トピックセンテンスを意識しながら書くということを覚えることは有意義である。