英語教材の選択
教員は授業をする前に教材を選択する。しかし、教科書の選択に当たっては、個々の教員が選択できない場合も多い。だが、事前の教材研究の時に、使用する教科書の個性や特性を把握して、授業の組み立てをすることができる。さらには、副教材の時などは選択の基準を活用して、決めることができる。
具体的な選択の基準
具体的基準としては以下のような項目がある。(望月編『英語科教育法』大修館書店を参考にする)
①自分の言語観や教材観と適合するか。
②シラバスや教授法は妥当か。
③字習指導要領の内容はどのように具現化されているか。
④使用上の自由度が確保されているかどうか(最初から順番通りでなくてもよいか、必要に応じて順番の入れ替えが可能か)。
⑤補助教材や資料など充実しているか。付属のCDやDVDなどは使いやすいか。
⑥各学年の教科書間の連携、各科目の関連性はどうか。
⑦ 目標は明確か、また、それは学校の指導目標や制度(入試など)との整合性はあるか。
⑧言語材料と言語活動は適切で関連性はあるか。
⑨四技能間のバランスはよいか、一つの技能だけに偏っていないか。
⑩文化や価値観の違和感はないか。異文化に対する偏見を助長しないか。
学習者の立場からの基準
学習者からみれば、教材は自分がそれを用いて学習する材料である。学習者の立場から教材を眺めることも必要である。つまり、教員は学習の援助者(facilitator)であることを自覚して、つねに学習者を念頭におきながら、どんな教材の、何を、どの程度、どのように指導すれば最も効果的か、その活用法を考えることが大切である。学習者にとって、学習しやすい教材かどうか教員は常に意識しなければならない。
①本文や例文の英語、課題や活動は適切で論理的か。
②難易度は適切か。
③動機付けや興味の持続ができるか。
④題材は生徒のニーズに合っているか。
⑤タスクは変化に富んでいるか。飽きないように工夫されているか。
⑥生徒にとっての本物らしさ (authenticity)があるか。
⑦自主学習しやすいか。
⑧記されている指示文や説明文は明確か。
⑨学習の支援情報は与えられているか。
⑩達成度、成就感が感じられるか。スモールステップに分かれていて学習者が一歩一歩達成したという充実感が感じられればいい。
授業前、授業中、授業後
教材研究は、授業準備の一環であるが、授業前に行うだけでは 十分ではない。教材の評価に関する問題意識は、授業中や授業後の教材研究にも直結する。評価基準について事前の予測どおりの結果であったかどうかを確認することである。それは、生徒の表情や反応を観察しながら、期待した指導効果が得られているかをチェックすることができる。また小テストを行うことで、生徒の知識の定着度を推し量ることができる。また、アンケートやインタビューなども有益である。
教員は一年サイクルで授業を行うのであるから、その年の授業で得たノウハウは次の年には是非とも活用したいものである。