アクティブ・ラーニング(文科省)

アクティブ・ラーニングで授業を行うようにとの文科省の働きかけが強まっている。文科省は、アクティブ・ラーニングをどのように説明しているか興味が持たれることだ。ネットで、文科省の審議会で提出された用語集があったので、その文を読んでみる。

教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、 教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。発見学習、問題解決学習、体験学習、調査 学習等が含まれるが、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク 等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である。

注:近年は、「学習→学修 学習者→学修者」という風に用語の変化がみられる。

学修は「中教審答申」で大学での学びを示すために使われた語であるが、現在のところ、この語の使用は大学の教育現場にだけに限られている。社会全体では「学習」 に代わる語としての「学修」はさほど認知されていない。なお、共同、協同、協働などの語の使い分けも教育においては必要になってくる。なお、博識社のフクロウ博士というサイトには、これらの語の違いが述べられている。

グローバル社会で積極的にコミュニケーションをはかるためには

グロ一バル社会を生き、これからの新しい社会や世界の中で、さまざまな異なる国や文化の人々と積極的にコミュニケーシヨンを図っていくためには、英語力が必須である。しかし、それだけでは足りない。同時に、思考力、判断力、表現力、交渉力などの様々な資質や能力が求められるのである。中央教育審議会は、学校教育でこれから必要となるのは、主体的・対話的で深い学び、つまり「アクティブ・ラーニング」であると述べている。

アクティブ・ラーニングは、教員だけが主体となって、生徒の視点からは受動的学習である授業スタイルではない。生徒が自ら課題の発見と解決に向けて主体的かつ協同的に学ぶ学習の形態を示す。すなわち、アクティブ・ラーニングでは教員は生徒に知識を一方的に与えるのではなくて、生徒の自主性を尊重して、生徒の活動を助け、生徒が彼ら自身の知識やスキルを活用・統合することを見守る役割を果たす。言わば、教員は産婆的な役割をするのである。

問題発見・探求・解決という学習プロセス

生徒は、問題発見・探求・解決という学習プロセスの中で、様々な人との協同や対話を通して自らの考えや学びを広げ深めてゆく。このように、アクティブ・ラーニングとは自らの学習活動を振り返って次につなげる主体的な学びの過程である。今後英語教育 においても、こうした主体的かつ対話的な深い学びが行われるように教員は曰々の授業を改善していく必要がある。

アクティブ・ラーニングの視点から、情報や相手の考えを的確に理解し、また自分の持っている情報 や考えを適切に伝えることによって英語力・コミュニケーション力を養うような言語活動の設定や教材・題材の選定が重要である。

具体的な活動

具体的には、読む、書く、話すなどの単独の活動ではなくて、3つ以上の技能を統合した活動が求められる。例えば、ロ一ル・プレイ、スピーチ、グループ・ディスカッション、ディべー卜、そしてショウ・アンド・テルなどの活動が考えられる。重要なことは、これらの活動は、個人学習ではなくて、協同学習であることだ。そしてしかもアクティブ・ラーニングの要素も含んでいることだ。

日本の学校での授業形態

日本の学校で多く見られる授業形態は一斉授業である。この指導方法は、学習者が、学習に対してどうしても受け身になってしまいがちである。しかし、上記の3つ以上の技能を統合した指導は、学習者が受け身では成立しない。

意識改革

受け身的な学習の授業に慣れている生徒を協同学習に積極的に参加させるには、意識改革が必要である。第一に、仲問と共に学ぶという心構えを学習者間に作らなければならない。協同学習において学習者の心をどのように準備し、活動に向けていくか重要なことである。